『オーケストラ楽器別人間学』に見るホルン奏者の名探偵性
- 作者: 茂木大輔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/09/01
- メディア: 文庫
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そんな疑問を解消するための手引きとして、ここでは『オーケストラ楽器別人間学』(茂木大輔/新潮文庫)を参考にしてみたいと思います。本書は、”「楽器と人間との不思議な関連性」を、筆者なりの考え方で、さまざまな角度から徹底的に研究考察して、一般の方にもわかりやすく説明を試みたものである。(本書p14より)”というコンセプトで書かれたものです。
というわけで、「第2章 楽器別人格形成論 いかなる楽器がいかなる性格をつくるのか」の中より、ホルン奏者についての一節からいくつか抜粋してみますと……。
ホルン 忍耐強い寡黙な人
音色 (中略)音域は極めて広く、それもまた奏者の性格に幅と余裕をあたえることになる。細く張りのある高音は強い意志力を、鳴りわたる中音は人間的な幅の広さを、グロテスクな低音は若干のサディスト的傾向をもたらす。
演奏感覚 特筆すべきはその構え方である。奏者は朝顔の中に右手を差し入れ、さらにみずからの身体にかぶせるようにして朝顔を保持する。発音された音はまず奏者の右手に当たり、さらに腹部周辺に返ってくることとなる。そのことは同然、奏者に寡黙な、言葉をよく吟味してからでなくては発言しない姿勢をもたらす。(中略)
ホルンはたいへんに音がはずれやすい楽器であり、その演奏には多大なリスクをともなう。このことは奏者にオーボエ奏者と同様の、神経質で不機嫌な側面をあたえる。(中略)
ホルン奏者は、楽譜をほとんどつねに移調して演奏しなくてはならないため、その思考経路はきわめて複雑になる。結果として、ホルン奏者は単純なことも複雑に考えずにはおれないという、熟考癖のある人間となりやすい。
(本書p72〜73より)
当たるも八卦当たらぬも八卦とはいえ、性格的に名探偵との共通性が想像以上に伺える結果となっているように思われます。上記3作品においてホルン奏者が名探偵の役割を担わされているのは単なる偶然ではないということが、本書における楽器別性格判断から見て取ることができます。本書を参考にしたうえでホルン奏者を探偵役に据えた作品も、ひょっとしたらあるのかもしれないと思うくらいです。
……最後に念のために付言しておきますが、本記事はあくまでネタ記事ですのであしからず(笑)。
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