失敗から経験値が得られるRPG

ソード・ワールド2.0 ルールブック I (富士見ドラゴン・ブック)

ソード・ワールド2.0 ルールブック I (富士見ドラゴン・ブック)

失敗のみを経験値としたRPGを作りたい - さまざまなめりっと - はてなグループ::ついったー部
 失敗のみではありませんけど、失敗によって経験値が得られるRPGとして連想されるのが、TRPG(参考:テーブルトークRPG - Wikipedia)ですが、ソード・ワールドのゲームシステムです。
 ソード・ワールドでは成功判定(ロール)を2つの六面ダイスを振る(=2D6)ことで行なうのですが、このとき、2つのサイコロとも1が出たとき(=1ゾロ)には自動的に失敗(ファンブル)したものとみなされます。確率的には36分の1なので、そんなに起こることではありませんが、このときキャラクターに経験値が与えられます。
 失敗で経験値が得られると聞くと変に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、普通の失敗ではなくて自動失敗(大失敗)なのがポイントです。失敗から経験を積むことだってあるわけですから、十分に合理的なシステムだと思います。
 その昔に私たちがやりこんだソード・ワールド1.0の場合ですと、1ゾロで得られる経験値は10点でした。しかし、新たに発表されたソード・ワールド2.0では50点になっています。これは、安い技能なら500点で1レベル習得できることを考えるとかなりお得な気がします。普通は悲しいはずの失敗ですが、この恩恵によって落ち込むことなくゲームを続けることができるのが嬉しいです。もちろん、命があればの話ですが(笑)。
 1ゾロの影響はケースバイケースですが、やはり戦闘で自動失敗が出るとかなり痛いです。防御判定で自動失敗すると致命的ですし、また、回復魔法での失敗となると魔法の対象となるはずだった瀕死のキャラにとっては笑い事じゃありません。そうした他人の不幸で経験値を得るような事態も結構ありますし、場合によってはパーティ全体の行動が行き詰ることもありますから、1ゾロで経験値を得て喜ぶのは不謹慎なように思われるかもしれません。
 しかし、実際にやってみると1ゾロの喜びというのは割りとプレイヤー全体に共感されやすいです。なぜなら、程度の差こそあれ、やはり失敗というのは全員につきものだからです。TRPGの場合には、その”つきもの”というのがサイコロによる運・不運で表現されていることになりますが、サイコロの目に文句をいっても仕方がありませんしね。
 また、1ゾロの失敗を羨ましいと思うプレイヤーは、そのチャンスを得るために積極的に成功判定を行なうような行動をとらなくてはなりません。つまり、積極的にゲームに参加することになるわけです。これはゲームの雰囲気を考えると決して悪いことではありません。
 ちなみに、ソード・ワールドにおいて経験値を得る一番の方法はシナリオ(≒ミッション)のクリアです。コンピュータ・ゲームの場合には目標設定はどうしても画一的にするしかありませんが、TRPGの場合だとかなり流動的に設定することができます。一義的な目標設定をプレイヤーに提示しながらも、展開によっては不達成に思えるような結末を迎えても達成したのと同等の経験値を与えるのもありです(その反対に、一見すると達成したように思える場合でも不達成とみなすことも可能)。この辺りはマスターの裁量や技量・プレイヤーとの信頼関係ということになってきますが、こうした柔軟なプレイが楽しめるのがTRPGの面白さだといえるでしょうね。