『となりの関くん 1』(森繁拓真/MFコミックス)

私の隣の席の関くんは
授業中いつも何かして遊んでいる
(本書p3より)

 となりの席ならぬとなりの関くんが授業中こそこそ遊んでるだけの漫画です。
 こそこそ、とはいうものの、実は割りと堂々と遊んでて(笑)、なぜ先生にばれない!?って感じではあるのですが、そこが笑いどころだったりします。ひとりで遊んでいる関くんは怒られないのに、隣りで関くんが遊んでいるのを見ている横井さんは関くんの一挙手一投足に授業への集中力を乱されて、挙句の果てに先生に注意されたり怒られたりしてしまいます。それでいて関くんは先生に注意されそうになったら遊び道具を瞬時に片づけてしまうという要領の良さにも長けています。
 私自身の高校生時代を振り返ってみますと、100%真面目に授業を受けていたかといえば決してそんなことはなくて、ときには違うことをしてました。でもそれはいわゆる内職というもので、他の科目の宿題をしてたり、いたずら書きをしていたり、TRPGのシナリオを作ってたり。まあ、くだらないことばかりやってましたが(笑)、それでも一応かたちに残ることをやってました。今どきの高校生ならもしかしたら携帯電話や携帯ゲーム機で遊んでいるのかもしれませんが、そういうのにしてもデータは残るでしょう。
 ところが、関くんの一人遊びはアナログなものばかりです。ドミノだったり机磨き(?)だったり棒倒しだったり(!)折り紙だったり。しかも無駄にレベルが高いです。それでいてあとに残らない諸行無常なことばかりしています。まさに時間と才能の無駄遣いです。しかも、本書の視点人物は基本的に隣りにいる横井さんですが、横井さんが見てようが見てまいが彼の一人遊びのスタンスはぶれません。いや、むしろ見られていないときほど集中しています。横井さんから関くんに話しかけることはあっても関くんから話しかけることはなし。どこまでもマイペースです。一方で、関くんの一人遊びにペースを乱される横井さんもやっぱりどこか変な人で、横井さんというギャラリー視点によって関くんの一人遊びワールドが補完されているからこその面白さだといえます。
 実を言いますと、本書には将棋が出てくるということで、将棋ヲタ的興味から本書を手に取りまして、そしたら将棋の他にも囲碁やチェスも出てくるのですが、そのどれもがルール無視、あるいは使ってるのは囲碁の石やチェスの駒というだけで、ぜんぜん違う遊びをしています。なので、そうした興味から本書を読んでも得られるものは一切ありませんのでご注意を。
 まあ、漫画を読むという行為自体が一人遊びみたいなものなので、読めば何かしら共感できるものはあると思います。難しいことなど考えず気楽に適当に読むのが吉でしょう。