『病院のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社)

病院のないしょ 1 (ぶんか社コミックス)

病院のないしょ 1 (ぶんか社コミックス)

 たまには漫画のレビューでも。
 本書は、元ナース(今は看護師っていわなきゃダメかな)である著者が、自らの体験談を生かして書いた病院びっくりウラ話……なのだそうです。なぜ伝聞形になってしまうのかといえば、私自身に病院に勤務した経験もなければ患者として長居したこともないので、ここに書かれていることがホントなのかどうなのかいまいち自信が持てないからなのですが、そういうレベルのぶっちゃけ話が収録されています。病院関係者の方の感想が知りたいです(笑)。病院が舞台の漫画やドラマというのは根強い人気があるますが、そういうのとは一味違う面白さです。
 本書はストーリー漫画ではなくてウラ話に終始しています。とはいっても暴露話とかではありません。本書を読むことで何か得することが具体的にあるかといえば多分ないですが(むしろ知らない方がよさ気なこともあります)、普通に患者をしてるだけでは分からない病院の裏側の日常みたいなものが描かれています。もしものときの気休め程度にはなると思います。
 ホンワカした可愛らしい絵でコミカルに描かれているので楽しく読めることは読めるのですが、キツイことがサラッと描かれていたりもします。ユーモアありブラックありのいろんな意味で笑える(苦笑や引きつり笑いも含む)漫画です。
 アル中の急患で経験をつむ新人ナース隊(=アル中隊)の話、産婦人科やオペ室の話、”G”との戦いの話、救急外来の話、解剖の話、下の話、精神科の話、冷蔵庫の話、業界用語の話などなど。どれもこれも大変に興味深い話ばかりです。……ってか、絵柄でごまかさないと描けないような話ばかりです。しゃれにならないことでもコミカルに描ちゃうのも漫画ならではです。なんでもかんでもリアルに描けばいいというものではありませんね(笑)。
 私なんかは病院には患者(あるいはその関係者)という立場でしか入ることはないので、どうしても完璧を求めてしまうわけです。しかしながら医者も看護士も私たちと同じ人間なわけですから、まあいろいろとあるわけです。絶対なんてあり得ません。人間ですからね。その反対に、なぜだか分からないけど命が助かっちゃうこともあるわけで、まさにいろいろとしかいいようがありません。
 そんないざというときの覚悟を決めるための本として(コラコラ)本書はオススメです(笑)。
【関連】
『病院のないしょ 2』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『病院のないしょ 3』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『看護学生のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館