『看護学生のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社)

看護学生のないしょ? (1) (ぶんか社コミックス)

看護学生のないしょ? (1) (ぶんか社コミックス)

一週間後 病棟に戻ってみると
彼はカルテになっていた
(本書p98〜99より)

 『病院のないしょ』の次は『看護学生のないしょ』です。
 某A医科大学校高等看護学院の学生寮で頑張る4人のナースの卵(略してナスたま)の成長(?)と奮闘をコミカルに描いたお話です。
 お話、といっても、おそらくは(というより、まず間違いなく)作者自身の体験がベースになっていると思われる看護学生の体験談・薀蓄が描かれています。いわゆる実話形式・業界裏話マンガでして、そういう意味で前作『病院のないしょ』シリーズと読み口はかなり近いです。
 ただ、前作と異なり、本作では主要人物に名前があります。個性的な4人の看護学生。子供っぽくておバカなみどり。前向きで戦闘的な元気娘のいかり。にこやかお嬢様ときどき天然なしょーこ。クールなつっこみ役で恋する乙女のレイコ。この4人の掛け合いと成長物語というキャラクタものとしての一面が新たに付加されています。貧乏学生寮での過ごし方とかゴキブリとの戦いとか病院実習とか剃毛の実習とか夜勤実習などなど。実体験に基づいたお話ではありますが、医療漫画としての小ネタ・薀蓄度は前作より相対的に低下していますので予めご了承くださいませ。
 もっとも、薀蓄度が低下したといっても「精神科は自殺者が多いから1Fには作れないけど代わりに脱走者が多い」とか普通の医療漫画では言いにくいようなことでもコミカルにサラッと書いてくれる面白さは健在です。
 それにしても、主要人物が4人なので、登場させる順番によって起承転結の24通りがパターン化できてオチが付けやすいのかも?というのは、少々考えすぎの机上の空論に過ぎますか?(笑)
 社会的な問題や宗教といった厄介な問題は回避されていることもありまして、そこが少々物足りなくはあります。しかし、とにもかくにも、とても楽しくて読みやすい医療漫画です。前作同様オススメです。
【関連】
『病院のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『病院のないしょ 3』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『病院のないしょ 2』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館