『病院のないしょ 3』(NYAN/ぶんか社)

病院のないしょ? (3) (ぶんか社コミックス)

病院のないしょ? (3) (ぶんか社コミックス)

 だから私は 彼らを生涯 師と仰ぐ――

 ほんわかした絵柄で病院のウラ話が語られるエッセイ漫画シリーズ3冊目です。元ナースである作者の経験が本書でも存分に活かされた内容となっています。
 が。本書は元ナースとしての体験談だけではなく、患者としての体験談も加わっています。検診のお話ということで、ひと言で検診といっても普通の検診から脳ドッグや心臓ドッグやPET(ガン系に特化した検査)といったオプションがありまして。でもって作者は女性用のレディースドッグを受けてみて。そしたら経膣エコーになんかどでかいものが写ってて……。
 というわけで、検診から始まって麻酔(作者は手術そのものよりもこれに超びびってる)、手術(子宮全摘)、入院、退院後の生活といった感じで、患者としての一連のプロセスが漫画という形式で分かりやすく解説されています。まさに身を切ったネタです。
 ……うん。こうして文字にしてみると、やっぱりシリアスなネタですよね(苦笑)。でもでも、さぞや大変な思いをされたであろうにもかかわらず、漫画の内容自体はこれまでと変わることなくほんわかなタッチでさばさばしたものです。Q:「全摘したら女性らしさがなくなるのでは?」、Q:「手術のあとが気になる」、Q:「もうHはできないの?」といった聞きたいけど聞きづらいことなんかもあっさり答えてくれています。まさにプロの仕事です。
 ”元ナースだからって術後模範患者になれるとは限らないのです…(本書p87より)”とあるように、元ナースだったからといって医師側にばかり立った視点ではなく、患者であるときには患者視点からの体験というか苦労がしっかりとネタにされています。エロ漫画も描いてますからシモ系のネタ(←大事なことです)にも躊躇がありませんし。いい意味で合理的でたくましいです。
 患者としての経験以外のナースネタも健在です。ナースのストライキ動物実験棟、ナースとアクセサリー、病院の機械についてなどなど。知りたいようで知りたくない病院のあんなことやこんなことを、相変わらず楽しみながら知ることができます。個人的には、ちゃんぽん屋ラーメン屋のお話が何気に好きだったりします。エッセイ漫画なので一貫したストーリーのようなものはなくて、本書だけ読んでも何ら問題はありません。オススメです。
【関連】
『病院のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『病院のないしょ 2』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館
『看護学生のないしょ 1』(NYAN/ぶんか社) - 三軒茶屋 別館