ハガレンの根っこが見える農家エッセイ 荒川弘『百姓貴族』
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: コミック
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荒川弘は自画像を「牛」にしていますが、
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これは彼女の実家が牧場を経営していたことに由来します。*2
「農家エッセイ」と自称するように、作者の幼少時代の農家エピソードが満載のコミックエッセイとなっています。
作風は、『鋼の錬金術師』のギャグシーンのテンションそのまま。
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テンポよくテンション高いので楽しく読むことができます。
エッセイ漫画というのは、「漫画家が描くエッセイ」の場合、漫画は面白いのですがネタは取材ものが多く「外部から取得した」ものが多いですし、「自伝的エッセイを漫画にする」場合、ネタは面白いのですが、漫画の技術的な面で漫画の技法がネタの副次的要素になってしまっているものも多く見受けられるかと思います。*4
今作『百姓貴族』は、農家エッセイというネタそのものも面白く、さらに描くのが人気漫画家という、いままでありそうでなかったエッセイ漫画だと思います。
フジモリも田舎出身で祖父が生きていたころは農業の手伝いなどをよくやったのですが、『百姓貴族』で描かれる農家はケタが違います。
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熊におびえエゾリスと戦い牛の面倒を見ながら広い畑を耕すというまさに「ザ・農家」。
異なる世界を疑似体験するということが漫画(小説も)の醍醐味であるならば、この漫画はノンフィクションながらまさに異世界を味わうことができるでしょう。
とはいうものの、描かれていることはときにシビアで、ときにシニカルです。
「食糧」を生産する立場からの「単純消費者」に対する考え、そしてさまざまな「死」と隣り合わせの日々。
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『鋼の錬金術師』での死生観や人生観は、作者の幼少からの農家経験が反映されているというのが感じられる内容です。
単純に農家に興味がある人、『鋼の錬金術師』の作者に興味がある人、気楽に読めるエッセイマンガに興味がある人、どなたが読んでも楽しめることうけあいの一冊だと思います。
幅広い層にお勧めできる良質なエッセイ漫画だと思います。
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2002/01/22
- メディア: コミック
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