QuickJapan12月号のジョジョ特集が意外と面白かった件

 QuickJapan12月号はジョジョ特集でした。後付に「今回の『ジョジョ』特集では、いま『ジョジョ』に注目すべき「理由」にこだわりました。そしていま、『ジョジョ』のどこが「面白いか」にこだわりました。(p232)」とあるように、昨今の『ジョジョ』に関する盛り上がりを周辺から切り取った記事が多かったです。以下、簡単なレビューを。
荒木飛呂彦 12,000字インタビュー 人間讃歌は変わらないッ!!
 荒木先生に、「昨今の『ジョジョ』ムーブメント」「作品論」「荒木先生の生い立ち」などをインタビューしています。他の媒体などで答えた内容と若干かぶる部分はありますが、「ジョジョを好きな人たちが30代になり、発言力が増す立場になった結果、『ジョジョ芸人』など様々なムーブメントが起きている」とか、「大事なのは血統」とか、興味深いお話もありました。
■荒木語録―『ジョジョ』と荒木飛呂彦の20年の記録
 表紙裏のコメントから「荒木語録」として紹介してます。フジモリも「初心者のための使えるジョジョ語(補足編)」で荒木語を紹介していますので、先を越されずよかったと思いました(笑)。
■ドキュメント11・3 荒木飛呂彦講演会 「損をしない漫画を描くための地図」レポート
 11月3日に青山学院大学で行なわれた荒木先生の講義レポートです。講義内容のみならず、当日の様子やアンケート内容なども書かれており、その場の「熱気」が感じられました。
■『ジョジョの奇妙な冒険』第1部〜第7部 完全紹介
 第1部〜第7部の紹介です。1部につき2ページとだいぶ端折ってますが、ジョジョ未読の方向けにはわかりやすいかも。
CLAMP大川緋芭×中川翔子 魂の叫びッ! 対談
 CLAMP大川緋芭しょこたんジョジョ談義です。各部についてそれぞれ語っていますが、ファン同士の雑談という感じで気楽に楽しめます。部によって雄弁度が違うしょこたんが面白いです(笑)。
■実況=ケンドーコバヤシ/対戦=麒麟ジョジョの奇妙な冒険 Adventure Battle Card」芸人マジバトルッ!!!!
 ジョジョのカードゲーム「ジョジョABC」を麒麟の二人が対戦し、「ジョジョ芸人」ことケンドーコバヤシが解説するという企画です。吉本芸人の間でジョジョABCが流行っているということが良く分かりました。

 麒麟としても他人事じゃないですよ。今年のM−1の成績が悪かったら、確実に『ジョジョ』カードの影響だと思いますね。(p123)

つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚

■パンドラの蓋を開けた「ジョジョの奇妙な芸人」 『アメトーーク!加地倫三プロデューサー インタビュー
 「アメトーーク」プロデューサーが「ジョジョ芸人」の回について語っています。プロデューサーはじめスタッフのほとんどはジョジョを知らなかったそうですが、ケンコバのプレゼンの際の観客のウケ具合から手ごたえを感じたとのこと。出演者も「われもわれも」という状況だったそうで、「ジョジョラー」の根の広がりを感じました。また、「ジョジョを知らない人向けにみせる」ことに苦労したそうで、実際、番組ではホトちゃんが「ジョジョって何やねん!」という立ち位置を巧く演じており比較的マイルドになっていたと思います。(それでもジョジョを知っている人しか分からない小ネタがたくさんあり、ジョジョ好きにはたまらない番組でしたが)
 番組収録には荒木先生もいらっしゃったとのこと。びっくり。
■生物学専門誌『Cell』の表紙依頼人・瀬藤光利インタビュー 「世界一の漫画家、荒木さんに描いてもらいたかった」
 「CELL」表紙に荒木先生の絵を載せた瀬藤光利氏が裏事情を書いています。「荒木先生は論文の題材となる「スクラッパー」の原理を理解したうえで絵を描いた」など、『ユリイカ』以上に詳しい舞台裏が書かれています。

 まず30代で自分がコレスポ(責任著者)で論文を出せる人が日本には数えるほどしかいないうえに、『CELL』責任著者で書ける人なんて、日本の30代ではここ数年僕の他に一人もいないですから。
(中略)たぶん僕のような世代だからこそ、「漫画家に表紙を」という発想が出るんで。50代では、まずやんないですよね(笑)。(p125)

 ここはまさに荒木先生がインタビューで仰られていた部分とリンクします。
ジョジョ立ち―実体としての「人間讃歌」
 カジポンさんがジョジョ立ちに対する思いを書いています。ジョジョ立ちの歴史を主に書いている『ユリイカ』と異なり、カジポンさんのジョジョ立ちに対する思いが記されています。
■『ジョジョ』第4部ノベライズ 『The Book jojo's bizarre adventure 4th another day』完成記念、乙一 ロングインタビュー 〜 Starless and Bible Black
 『The Book jojo's bizarre adventure 4th another day』を上梓した直後の乙一インタビューです。やはり他の媒体での発言と重複するところもありますが、ボツにしたエピソードなど新たな発言もあり面白いです。「あー、乙一って本当にジョジョが好きなんだなぁ」と思わせる記事でした。



 「解説」「評論」が多かった『ユリイカ』のジョジョ特集号と異なり、ファンの目線から見た「ジョジョ」という構図でした。『ユリイカ』の鼎談のような「やっちゃった感」がある読者を選ぶ記事は見受けられませんでしたので*1、いちジョジョファンとして素直に楽しめる特集でした。オススメです。

*1:誤字はご愛嬌ですが