谷川流『涼宮ハルヒの分裂』角川スニーカー文庫

 社会現象にもなった涼宮ハルヒ。作者には過剰ともいえる期待のプレッシャーがあったでしょうが、それに応えるだけの最新巻です。
 タイトルに「分裂」とあるとおり、今作では涼宮ハルヒが「分裂」します。
 ある日、いつものようにキョンが学校に行くと、いつもの真後ろの席にいるハルヒ以外に、真横の席にももう一人のハルヒがいることに気づきます。
 彼女が以前から抱いていたキョンへのほのかな恋心のみが「分離」し、「ツン」のハルヒαと「デレ」のハルヒβになってしまったのです。しかしクラスメイトをはじめSOS団もこのことに疑問を抱きません。
 最高傑作と名高い『涼宮ハルヒの消失』の真逆な物語となる今作、「なぜハルヒが分裂したのか?」という謎を解くというメインストーリィ自体も面白いですが、なにより「デレ」のハルヒβのデレっぷりが凄く良いです。「ツン」のハルヒαの「なによ、別にキョンのために手伝ってるわけじゃないんだからね!」も良かったですが、「デレ」のハルヒβの「あ、あの…みくるさんばっかり見ないで下さい…」にもぐっときました。
 昨年ブレイクし、今ではすでに時代遅れになりかけている「ツンデレ」を作者風に再構築した感じで、「ツンデレはまだまだ3年は戦える!(←うろ覚え)」という気分になりました。
 今作の最後ではなんと長門まで「分裂」してしまいます。他のメンバにも波及した「分裂」。果たしてキョンは分裂したSOS団のメンバを再統合できるのか?そしてなぜ彼女達は「分裂」したのか?
 6月1日に発売される次巻「涼宮ハルヒの驚愕」が待ち遠しくなる1冊でした。

 あ、重要なことを言い忘れてました。
(反転ここから→)当然エイプリルフールの嘘ですよ(←ここまで)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)