別館号外さんちゃ0100号
●Yahoo!ブックスインタビュー 森見登美彦
新刊『〈新釈〉走れメロス 他四篇』についてのインタビューです。最近、未読の注目作家が増えてきて手に負えなくなってきてます(汗)。
●理論社ミステリーYA!更新ー(昨日だけど)。
大倉崇裕『落語はミステリー!?』が更新されてますー。
●【HR】環境が悪い(MORI LOG ACADEMY)
フジモリから話を振られる前に簡単に検討しておきます(最近すっかり物分かりがよくなりました・笑)。
まず、一つ目の事例ですが、民法415条・債務不履行による損害賠償請求の対象とはなるでしょうが、刑法上の犯罪には当たらないと思います。二つ目ですが、著作権法は出版権を明記してますし、その侵害行為には罰則も規定されています(著作権法第119条)ので、犯罪に該当する可能性があります。もっとも、この場合、一応「承諾」の返事をしたということですので、この”承諾”というのが真に承諾と言えるものであれば権利侵害には該当しない、ということになると思います。もちろん、細かい事実関係は一切知りませんのであんまり真に受けられても困りますが、一応犯罪には当たらないという結論は出しておきます。犯罪に該当するような事柄は秘しているかも知れませんしね。ま、何か間違い・見落としがありましたら遠慮なくご指摘下さいませませ。
もっとも、刑事上問題はないかもしれませんが、民事上・契約上は問題ありまくりですね。そもそも、誤字のある本は普通に嫌です。困ったものですね(ってか、具体的な出版社名・書籍名を知りたくなってきた)。
今回の例に限らず、作家と出版社側のトラブルというのはときどき話題になります。言葉は悪いですが、森博嗣クラスの作家でもこのレベルのトラブルが発生して、しかもこの程度は普通、と言われてしまうくらいなのですから、確かに”環境が悪い”ですね。私法上の権利関係は当事者同士の関係が対等な場合に機能しますが、新人作家みたいに一方の立場が弱いと、その当事者にとって不当に酷に作用することがあります。通常、そうした弱い立場の発生が恒常的に予測される場合には、例えば労働基準法が労働者の権利を保護してるみたいに法によってケアされます。作家と出版社の関係の場合、どちらが強いとか弱いとか一概には言えませんのでそうしたケアには適さないとは思いますが、だからこそ、常識的なルールは守って欲しいものですね。以上、つまらない一般論的な結論しか出せなくて申し訳ありません(苦笑)。
【追記】アホヲタ法学部生の日常さんに、すべてが文書偽造罪になる??と題するエントリで捕捉&補足いただきました。一つ目の事例における私文書偽造罪の成立・不成立について分かりやすく解説されていますので、ぜひご一読を。