鈴木小波『出落ちガール』少年画報社

 鈴木小波による短編漫画集です。
 タイトルそのまんま、一発ギャグ(ギャグではないですが)かのごとく、1作ワンアイデアの奇妙なテイストの短編がこれでもかと詰め込まれています。
 三途の川で脱衣婆と野球拳する「脱エバ!」、若かりし母が守護霊となって付きまとう「おかんゴースト」、ぽっちゃり女子が始めた奇妙なダイエット「エイリアンダイエット」などなど、出てくる女の子もハチャメチャなお話もまさに「出落ち」。読みながら、「あー、こりゃ、作者もこの作品を膨らませて連載化とか微塵も考えてないだろーなー」と思ってしまうほどの「一話入魂」っぷりがステキです。
 エスパー伊東が元ネタの「クーパー伊東さん」とか、思い付きスタートもいいところですよ、もう(←ほめてます)。
 作品自体も、ハッピーエンドで終わらせないひねくれた作風や躍動感がありながら独特の構図やコマ回しなど、やや粗削りながら毛羽立った「個性」を感じました。
 作者の他作品にも手を出したくなるような面白さ。まさに「これぞ短編集!」とでもいうべき一冊です。