米根真紀『小桧山中学吹奏楽部』ラポートコミックス

小檜山中学吹奏楽部 (ラポートコミックス)

小檜山中学吹奏楽部 (ラポートコミックス)


絶版本を投票で復刊!

今は亡き、雑誌「ファンロード」でおなじみラポート出版社から発行された吹奏楽部漫画です。
4月。片田舎にある小桧山中学校では新入生が入部活動を始めていた。吹奏楽部に所属する主人公・本牧浩美は自身の楽器であるコルネットを希望する後輩を心待ちにしていたが。。。というお話です。
このマンガの出版は2002年。2001年に『のだめカンタービレ』連載開始ですのでほぼ同時期の作品となりますが、『のだめカンタービレ』が「クラシック音楽」を題材とするのに対し、『小桧山中学校吹奏楽部』は「吹奏楽部」そのものを題材としています。
描かれている内容は、まさに「日常」。一応主人公である本牧浩美が後輩を指導したり憧れの先輩にほのかな恋心を抱いたりとストーリーとしての流れはありますが、基本的に「とある吹奏楽部の日々」を楽しむ漫画だと思います。
楽器を吹いたこともない後輩にマウスピースの吹き方を教えることからはじめ、

腹筋など基礎体力の向上やアンサンブル。

おまけに中間テストなんてものもあります。

もと吹奏楽部だったフジモリはものすごくノスタルジィを感じる一方で「いーなーラブでコメしやがって!」と軽く死にたくなったりしましたが(笑)、同じように吹奏楽部経験者にとっては「あー、あるある」と多かれ少なかれ過去の自身の思い出をくすぐる部分があるのではないかと思います。
描くのはまさに平々凡々とした日常であり、それ以上でもそれ以下でもありません。続刊は出ていませんがこの巻で完結しているわけでもなく、まさに日常を「切り取った」漫画でもあります。素朴な絵柄がまた内容に非常にマッチしており、けっこう楽しんで読むことができました。吹奏楽部未経験者の方は、これを読めば「吹奏楽部ってどんなことしてるんだろう?」という疑問が少しは解決するだろうなぁ、と思った一冊です。
強烈な面白さ、というよりも吹奏楽部の日常を垣間見たい人にオススメできる漫画です。残念ながら絶版のため入手は困難だと思いますが、もし幸運にもめぐり合えた人はこのマンガを通じて「吹奏楽部」を疑似体験していただければ、と思います。