都桜和『うらバン! 浦和泉高等学校吹奏楽部』芳文社

うらバン! 浦和泉高等学校吹奏楽部 (1) (まんがタイムKRコミックス)

うらバン! 浦和泉高等学校吹奏楽部 (1) (まんがタイムKRコミックス)

まんがタイムきららCarat」連載中の4コママンガです。
4コマ漫画の計は(以下略)に従って、まずは第一話を。*1

主人公・鈴杉冬美が憧れて入った吹奏学部は部員が一人だけ。友人、速馬コハルとともになかば強引に入部させられ、部員わずか3名の吹奏楽部活動が始まります。
この「潰れかけた部を立て直す」というシチュエーション、それこそ古今東西枚挙に暇がなく、最近フジモリが読んだ音楽マンガだけでも『けいおん!』『放課後ウインドオーケストラ』『ブラブラバンバン』などたくさんあります。
とはいうものの、マンガそのものはユルい日常を描く、いわゆる「日常4コマ」で、音楽部活の一大イベントである「演奏会」などはあくまで副次的な扱いのように思えます。「部活」より「日常」に軸足を置くマンガであり、その点では『けいおん!』の延長線上にあるマンガかもしれません。
思うに、「4コマ」という形式はテンポが決まっているため読者にとっての「体感時間」が一定、という特長があります。
【参考】『棺担ぎのクロ。~懐中旅話~』(きゆづきさとこ/まんがタイムKRコミックス) - 三軒茶屋 別館
目標を定めるストーリー的、スポ魂的な要素と相性が悪いのに対し、ユルい日常を描くには4コマが一番適しているのかもしれません。そういう意味でこのマンガは「日常4コマ」そのものであるかもしれませんね。
また、主人公がチューバということで、田川ちょこ『ひかるファンファーレ』と奇跡的なまでのシンクロニシティ。ちっちゃい子がでっかい楽器を持つというシチュエーション好きの人にはたまらない描写がそこかしこに見受けられます。

位置的には『けいおん!』と『ひかるファンファーレ』の間に属すると思いますが、このマンガを単なる亜流以上のものにしているのは、登場キャラの色付けによるところが大きいかと思います。
ちっちゃい体に大きな楽器の主人公はもとより、「スパッツ娘」こと速馬コハル。
このキャラについてはスパッツ大好きたまごまごさんが熱く熱く語っております。
スパッツじゃないから恥ずかしいもん!「うらバン♪」 - たまごまごごはん
そのほか、「天才で変人」な先輩・川坂千夏、度を越した天然ボケのとんこつ娘・恩田秋桜美、「4コマの先生にまともな人間はいない」の法則を具現化したかのようなトラブルメーカー・黒目つつじ。
この5人の掛け合いによって進められていきますが、基本ツッコミ分が不足している気がするので脳内でツッこんで補填してください(笑)。
音楽部活の「体育会系」要素が微塵も感じられませんので*2、ユルい日常を楽しみたいかたは読んで損はないかと思われます。

*1:実際はカラーページからはじまりますが、わかりやすいこの話から

*2:腹筋とかしてますけど