マンガナツ100コメント(その8)

漫画ナツ100(フジモリ@三軒茶屋の場合) - 三軒茶屋 別館
コメントその8です。
81)監督不行届/安野モヨコ
働きマン」の作者・安野モヨコと「新世紀エヴァンゲリオン」監督・庵野秀明との「オタクな」新婚生活を描くエッセイマンガ。
「薄い」オタクの安野モヨコが「濃い」オタクの庵野秀明に「汚染」されていく過程が面白い。夫婦に限らず、会話に共通項がある、ということは幸せなんだなぁ、と感じるマンガ。
82)二十面相の娘/小原愼司
二十面相の娘(血は繋がっていない)」チコが生き別れになった二十面相を追い求める冒険活劇マンガ。
昭和初期の「怪人二十面相」がいたころの雰囲気がよく出ている。レトロで、ちょっと怪しくて、冒険に胸躍らせた「あの頃」。破綻なく物語の風呂敷を畳みきれた点も評価が高い。
83)ALIVE/高橋ツトム
殺人犯・八代天周は刑執行の直前、ある組織の条件により処刑を回避する。隔離された天周の隣部屋に“異次物”の憑いた美しい女が…というサイコ・サスペンスマンガ。
凄惨で粗笨で生々しい高橋ツトムの作風が凝縮された一作。映画化もされた。
84)GOTH/大岩ケンヂ
乙一のサスペンス小説『GOTH』を漫画化。「殺すこと」に興味を持っている「僕」と「殺される」ことに興味を持っているクラスメイトの森野が繰り広げる「殺人者たちの」物語。
「あの」小説をよく漫画化できたと思います。小説に比べ「異常」な部分は薄まっているので、マンガを(以下略)。映画化されます。
【小説書評】三軒茶屋本館 フジモリの書評『GOTH』
85)神戸在住/木村紺
神戸在住の少女の視点で「神戸」を描く、エッセイ(風)マンガ。
スクリーントーンが一切使われないその画風は、神戸とそこに住む人々を「そこに私たちが居るかのように」身近に描く。(もと)神戸在住のフジモリも、読んで「あー、ここ、ここ」と膝を打つほど。最終巻の発売が待たれる。
86)リンガフランカ/滝沢麻耶
互いに心に傷を持つ主人公二人が「漫才」という共通項でつながり、心の交流を深めていくマンガ。
「漫才」という形態を細かく噛み砕いて分析しながら、「心の交流」に昇華させている作者の手腕に脱帽。
【書評】三軒茶屋本館 フジモリの書評『リンガフランカ』
87)ABフリャー/清水洋三
「天下人を3人も出した名古屋を調査するのだ!」という命を受けたアルバート・ビリー・フラーことA・B・フリャーから見た名古屋を描いた、「名古屋」ギャグマンガ
原作・家田荘子というのもすごいが作中に書かれている「名古屋」の濃さもすごい。脚色はされていると思うが、「異世界」名古屋を満喫できる作品。
88)速攻生徒会/小川雅史
無敵、無敗というデタラメな強さを誇る女子高生・本多愛と彼女らを取り巻く超人高校生たちが繰り広げるバトルギャグマンガ
格闘ゲームのパロディとして様々な必殺技が(コマンド付きで!)使える主人公たちのテンション高いバトルは、頭を空っぽにして楽しく読める。
89)風林火嶄/小川雅史
特殊な戦闘能力を持つ「攻校生」たちが通う「猛田攻等学校」に転校してきた、戦闘セーラー服「楯無」を持つ高坂疾子の戦いを描くバトルマンガ。
『速攻生徒会』と比べこちらはシリアス。各キャラの能力も独特で面白い。現在「第一部・完」状態だが、続きが読みたい作品。
90)ディエンビエンフー/西島大介
1960年代のベトナム戦争を舞台に、従軍カメラマンの少年とゲリラの少女の出会いと恋愛を描いた物語。
かわいらしい絵柄に反して内容は首チョンパなど凄惨なシーンが多い。プロローグで既に「バットエンド」が示唆される悲恋の物語であるが、悲しいがゆえに美しい物語。