『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1)』(谷川ニコ/ガンガンコミックスONLINE)

喪 女
これはとある女の子…モテない女の子の…
どうでもいい日常の物語
(本書3〜4より)

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX(第1話と最新2話を読むことができます。)
 モテるモテない以前のいわゆるコミュ障(?)なJK(女子高生)のソロプレイが描かれている痛くて苦い青春物語(?)なわけですが、……この作品、笑っていいんですよね? と、のっけからクエスチョン・マークばかりになってしまいましたが、自分の姿を鏡で見ているうちに吐いちゃうっていうのは正直心配になるレベルで困ってしまったりもするのですが……いや、まあ笑いながら読んでますけどね(苦笑)。
 主人公の女の子・黒木智子は中学3年生の時点で乙女ゲーム内で50年間を過ごし100人の男と付き合って、リアルでは男子に6回も声を掛けられているというそんなのカウントするなよぉ……って、いかんいかん。そんな女の子が高校生になればそれだけでモテるようになるかと思いきや、2ヶ月経っても高校生なのに高校生と会話できないという、高校デビュー失敗どころではないスタートです。漫画にしても小説にしても、それらの作品とひとり向き合う読書という趣味は孤独なものです。そういう意味で、彼女の気持ちは分からないでもありません。私だってぶっちゃけ社交的な性格ではありません。ですが、さすがにここまでではありません。まあ、勇気をもらえるといえばもらえますが……。
 高校生活のソロプレイヤーといえば、私的には『3月のライオン』の桐山零が思い浮かびます。

勿論ですよ。だいいち僕、いじめられてなんかいませんし
「無視されてるだけ」です。「友達がいないだけ」っていうか…
「みんなの視界に入ってないだけ」みたいな?
ま、僕はいいんです。その辺はプロなんでっ
3月のライオン 6巻』(羽海野チカ白泉社)p15より

 ソロプレイヤーのプロを自認している桐山からしてみれば、「あんな奴らと群れるくらいならぼっちでいいし!」*1とか思いながらも周囲を気にしたりどうしたらモテるのか悩んだり弟とトークの練習したりしている本書の主人公はアマチュアなのかもしれません。ただ、桐山は何と言っても将来を嘱望されてる中学生プロ棋士で、学校の外に出れば川本三姉妹と仲良くしてたりもしてます。それに比べて彼女の青春ときたら……。

子供が携帯電話やパソコン、電子ゲームなどに長時間、向かうことで心身に悪影響が及ぶ「メディア依存(中毒)」が問題化している。(中略) NPO代表理事山田真理子・九州大谷短大教授(臨床心理学)は「メディア依存の子供は、自己表現やコミュニケーションが苦手な傾向がある」と指摘する。
携帯・ゲーム長時間…メディア依存、小中高1割:教育:YOMIURI ONLINE(読売新聞)より

 ひと昔前だとメディアといえばテレビのことだったはずですが、それが携帯やパソコンやゲームを指す言葉として用いられテレビが排除されているのには違和感といいますか隔世の感を覚えます。なんだか変な記事な気がします。それに、1割程度なら問題ないような気もします。ただ、ぼっちとネットやゲームの相性がいいのは確かだとも思います。本書を読んでるとそれをしみじみ感じます(自嘲)。

でもたまには独り言でもいいからしゃべったほうがいいですよ。私も昔嫌な事があって一週間誰とも話さなかった時があったんですけど、その後コンビニに行った時「あたためますか?」って聞かれて、声が出なかったんですよ。一週間しゃべらないと急には声が出ないんですね。びっくりしました。
さよなら絶望先生 第1集』(久米田康治講談社)p89より

 糸色望音無芽留にしても、コミュ障をネタにしながらも、なんだかんだでそれなりにコミュニケーションをとってます。本当にぼっちな女子高生ライフを読みたい方は本書をぜひ。

3月のライオン 6 (ヤングアニマルコミックス)

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さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

さよなら絶望先生(1) (講談社コミックス)

*1:本書カバー折り返しより。