「将棋は本当に楽しいです。昨日負けた私が言うのですから、間違いないと思います」
- 作者: 羽海野チカ
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- 発売日: 2010/11/26
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「おい、ち、ちょっとまった桐山?! お前…将棋やってて楽しい?」
「たの……え?」
(『3月のライオン』5巻p63より)
「強くなればなるほど、負けたときは悔しいか…。じゃあ、この高さにいる人間が負けた時って、心の中はどんな事になってんだろうな」
(『3月のライオン』5巻p65〜66より)
2011年1月8日より第60期王将戦七番勝負、久保利明王将対豊島将之六段戦が行なわれています(http://mainichi.jp/enta/shougi/ohsho/)。
「王将」は将棋の七大タイトルのひとつです*1し、タイトル戦を戦うというのは棋士にとって名誉なことであるのは言うまでもありません。今回の七番勝負は久保利明王将(棋王も保持しているので現在二冠)に対して、20歳の新鋭・豊島将之六段が挑むという世代交代が起きるか否かといった意味合いも含んだ重要なカードです。その七番勝負(先に四局勝った方が「王将」となります)の第一局は久保王将が貫禄を見せる形となりました。豊島六段からすれば惨敗といえる内容でした。そんな将棋の翌日、ジュニア将棋大会での豊島六段は次のようなものでした。
豊島六段「将棋は本当に楽しいです。昨日負けた私が言うのですから、間違いないと思います」
http://mainichi.jp/enta/shougi/ohshoblog/60-1/post-618.html
タイトル戦という棋界の頂点での敗局後のあいさつです。もちろん番勝負の途中で弱みを見せるわけにはいかない、あるいは、子供たちを前にして自らの不甲斐なさを見せるわけにはいかないという思いはあったでしょう。それでも、このセリフを言えるところに、タイトル戦を戦う資格を手にした棋士の強さの一端を垣間見ることができると思います。
その後、1月21日・22日に行われた第2局は二転三転する熱戦の末、終盤に妙手を放った豊島六段が見事に勝利して星を五分に戻しました。2月9日・10日に行われる第3局以降もとても楽しみです。
豊島六段は20歳という若き挑戦者です。その若さと細身な身体と相俟って、なんとなく『3月のライオン』の桐山を彷彿とさせたりもして、もしもこの先、桐山が戦うことになれば豊島六段のようなルートをたどることになるのかなぁと重ね合わせてみたくなる方も多いのではないかと思い、王将戦の紹介ついでにちょこっとまとめてみました。
【関連】
・『3月のライオン 5巻』将棋講座 - 三軒茶屋 別館
・将棋のタイトル戦がとんでもないところで行われている件 おもいっきり濁点(2009年から王将戦第1局は大塚国際美術館のシスティーナ礼拝堂で行われています。そのインパクトのある対局風景は王将戦の名物となりつつあります。)
- 作者: 豊島将之
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