『ひらけ駒!』の連載がお休みしているわけですが……。

ひらけ駒!(8) (モーニング KC)

ひらけ駒!(8) (モーニング KC)

タイトルは防衛したいです
それから2つめのタイトルもほしいです
でも本当の夢は 男性棋士に勝てる女流棋士になることです
(『ひらけ駒!』7巻p125〜126より)

 1月23日に最新刊8巻が発売された『ひらけ駒!』(南Q太/モーニングKC)ですが、実は掲載雑誌である週刊モーニングでの連載は現在お休みとなっております。どうしたのかなぁ?と思っていたら、こんな話題が入ってきました。将棋の女流棋戦のひとつである第6回マイナビ女子オープン準決勝において石橋幸緒四段が対局を断念(不戦敗)したというものです。

各紙報道より

朝日新聞デジタル:将棋の女流新団体が対局拒否 出場資格巡り連盟に抗議 - 将棋
女流将棋界で対局ボイコット騒動 プロ資格巡り対立|アート&レビュー|NIKKEI STYLE
http://hochi.yomiuri.co.jp/leisure/shogi/news/20130216-OHT1T00102.htm
女子将棋と独占禁止法 | ニュースのフリマ



 『ひらけ駒!』読者にとって、マイナビ女子オープンは馴染みの深い棋戦です。6巻から7巻においてスポットが当てられているこの棋戦は、オープン戦の名の通りプロアマ問わず参加可能な棋戦で、予選については一般公開対局が恒例となっています(詳しくはこちらを)。作中でも、日本将棋連盟所属女流棋士LPSA所属女流棋士と、アマチュアの将棋指しとが、華々しい戦いを繰り広げています。6巻巻末には第5期マイナビ女子オープン第3局を取材に行ったときの様子が簡単に描かれていますが、それを読むと日本将棋連盟女流棋士LPSA女流棋士日本将棋連盟プロ棋士などなど、たくさんの人に取材してたくさんの人と仲良くなっている様子が伝わってきます。『ひらけ駒!』は盤上のみならず盤外におけるいろんな人の日常も大切に描いている漫画です。それだけに、連載がお休みしている背景というか遠景にはこの件も大きく関わっているのではないかなぁと思わずにはいられません*1
 ちなみに今回の件は、いつかは起こり得る問題だったわけですが、それが現時点での女流棋戦の最高棋戦であるマイナビで、しかもオープン戦を標榜する棋戦で(だからこそ、でもありますが)参加資格が焦点となっているのが面白いです。でもって、他の5棋戦のタイトルホルダーが里見香奈女流四冠(女流名人・女流王位女流王将倉敷藤花)と加藤桃子女流王座が奨励会員であるのに対し、マイナビのタイトルホルダーである上田初美女王が日本将棋連盟所属女流棋士であって女流6大棋戦において唯一奨励会員でない女流棋士が保持しているタイトルであることも今回の問題が生じた要因のひとつとして挙げられるでしょう。
 女流棋界の明日は果たして……?

*1:逆にいえば、この件が『3月のライオン』のストーリーにはまったく関係ないのがこの問題の本質だと思っています。