『かくかくしかじか』3巻

作者は不本意かもしれないが、ママテンと同じくこの人の実話エピソードはまさに「すべらんなぁ」。ママテンと比べるとこちらの作品のほうが確実に絵力があるのは、やはり恩師に捧げるという意味合いもあるのだろうか。
ハチャメチャなエピソードとしんみりしたモノローグの高低差も激しく、作中でいうところの、まさに「漫画子」と「絵画子」が強力にタッグを組んだ東村アキ子の集大成ともいえる作品。
物語はいよいよモラトリアムが終了し、右往左往しながらもついに漫画家への道が拓けていく。追い詰められた方がやる気になったりとか、ふとした一言で人生が転換したりとか、自身の人生と照らし合わせてしまいたくなる。
まさに「等身大」の、そして懺悔にも似た自叙伝。あとがきには「まだまだ続く」とあるのでまだまだ楽しめそうでなによりです。