さまぁ〜ずのコントにおける「伏線回収」と「時系列シャッフル」

唐突ですが、フジモリはさまぁ〜ずの大ファンです。
TVでのさまぁ〜ずは三村の「○○かよ!」というツッコミと大竹の独特なボケが目立っていますが、彼らの真髄はコントだと思ってますし、実際彼らのコントライブは非常に面白いです。さまぁーずの二人は最近でこそ多忙のためやらない年もありますが、前身のバカルディ時代も含め毎年コントライブを行なっています。しかも、「客に直に笑いを伝えたい」と小規模のホールでのライブ。彼らのお笑いへのこだわりを感じます。
二人のコントは面白くて腹を抱えて笑えるのはもちろんのこと、コント間の繋がりなど非常に良く練りこまれ、こういう表現は適切かどうかわかりませんが、非常に「ミステリ小説的」です。
今回は実例として2005年に行なわれた「さまぁ〜ずLIVE 5」を基に、彼らのコントの構成の巧みさをご紹介します。

さまぁ~ずライブ 5 [DVD]

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(以下、ライブのストーリーのネタバレです。まっさらな気持ちで観たい方はご注意ください)

プレゼント

客先の前で駄弁っている先輩・後輩会社員。先輩(大竹)の誕生日が近いということで、プレゼントを打診する後輩(三村)。
後輩「先輩はどんなプレゼントがほしいですか?」
先輩「いやいや、何でもいいよ。・・・靴とかでも」
と遠慮しつつ靴が欲しい先輩と、意を汲み取れない後輩との会話。

かおみ亭

とある旅館「かおみ亭」に宿泊する三川さん(三村)。
仲居(大竹)が食事だの踊りだの布団だのと、くつろぐ邪魔をします。
いっこうに本題に入らないオバケの話とか、三味線を弾きながらロボットダンスを踊るとか、シュールな大竹ワールド炸裂の一品です。

あなたの右腕でいたい…

社長(三村)に呼ばれたナマタメさん(大竹)。社長に自社の野球チームのユニフォームに合う帽子を選びたいと言われます。ナマタメさんは社長に気に入られようと社長の発言に同調しようとしますが、意見を聞かれたり、「一緒に言ってみようか」と振られたりと悪戦苦闘します。
さまぁ〜ずのライブではこういった三村がボケ役(天然)、大竹がツッコミ役になり大竹のツッコミリアクションで笑いを取る、というコントも多々あります。

先輩の準備

先輩(大竹)の家に呼ばれた後輩(三村)。
父親の反対で結婚式が挙げられない後輩カップルをサプライズで祝おうとしますが、先輩のテンションが空回りして微妙な雰囲気に。
後輩が誕生日のプレゼント(靴)を渡したり、途中ナマタメさんから帽子に関する電話がかかってきたりと他のコントとのリンクが見られます。

リハーサル

ボーカルのヘロー(大竹)率いる風変わりなバンド「マイナスターズ」の練習にプロデューサー(三村)がいろいろ突っ込みます。
このマイナスターズというバンド、始めは「ダキョウ倶楽部」というコンビで路上ライブをしていましたが(2003年さまぁ〜ずライブ)、バンド「マイナスターズ」になり(2004年さまぁ〜ずライブ)、今回はライブ前の練習と回を追うごとにグレードアップしています。

ちなみに、このさまぁ〜ずライブのあと本当に「マイナスターズライブ」が行なわれました。
沖縄風の歌「風」とか、ヘローの田舎「いちごゆざあ(越後湯沢にあらず)」を歌う「レッサーパンダ」など変な曲満載。実はCDも出ていますが、めちゃめちゃ面白いです。ツッコミ入りの歌ってどうよ(笑)。

「いちごゆざあ」という駅に降りた三川さん(三村)。そこで変な駅長さん(大竹)と出会います。微妙ななまりで会話したり、タバコを吸っている三川さんに対し直接言わずにアナウンス室から指摘したり。。。
実はこのコント、近くに泊まれる旅館を聞かれて「かおみ亭」を紹介するなど、その前のコント「かおみ亭」に繋がることがわかります。
駅長さんと仲良く喋る三川さん。実は駅長さん、結婚を反対している娘がいるとのことで。。。
・・・ここまで書けばオチはまるわかりでしょうけど(笑)、一応伏せておきます。



今回ご紹介したライブのみならず、とにかく、さまぁーずのコントは、コント間のリンクや時系列シャッフルなどミステリ小説ばりの構成の妙もあり、観おわった後は笑いとともに良質の連作短編を読んだようなカタルシスを得ることができます。
もちろん笑いのツボは人それぞれですので個人差はあると思いますが、ご興味もたれましたら一度ご視聴することを強く強く推薦します。