書評と感想の違いについてつらつら語ろうとしましたが失敗しました。

 うちはこう見えて一応書評サイトなので(笑)、たまには書評とは何かについて考えてみたいと思います。
(以下、無駄に長々と。)
・・・アイヨシの丸パクリの導入でごめんなさい(笑)。
たまには書評サイトとして書評について考えてみる。 - 三軒茶屋 別館
アイヨシの記事に触発されたので、フジモリなりの書評論を、過去記事をリサイクルしながらつらつらと述べていきたいと思います。

書評と感想の違い

書評とは何か?というより、書評と感想の違いですが、よく言われるのが、「書評は客観、感想は主観」という区分け。
これをフジモリなりに解釈しますと、
「書評は主語が「本」、感想は主語が「私」」
なのかな、と考えています。
「面白かった!」だと主語は「私」であり、すなわち感想、「テーマは「人間賛歌」です」だと主語は「この本」であり、すなわち書評。こう考えると比較的すっきりするかな、と思います。もちろん、「テーマは「愛」です」というのは読んだ人の解釈であり、厳密に言えば「この本のテーマは「人間賛歌」だと私は思います」となるのですが、そこまで言及すると「これはペンだと私は思います」と三人称そのものが無くなってしまうので、まあざっくりと二分してみました。

どちらが「主」か?

と、ここまで書いたところで、過去にフジモリが書いたこんな記事があることを思い出しました。
なぜ人は書評を書くのか? - 三軒茶屋 別館

書評サイト(感想サイト)のスタンスとしては大きく分けて2種類あるかと思います。
(1)読んだ「本」そのものを伝えたい(『本』が「主」、『私』が「従」)
(2)「『私』が読んだ本」を伝えたい(『私』が「主」、『本』が「従」)
どちらのスタンスを取るかで「書評サイト(感想サイト)論」そのものが変わってくると思いますので、「自分のサイトはどちらに重きを置いているのか?」を考えたうえで議論すると、書評サイト(感想サイト)論がより有意義になるのでは?などと老婆心ながらに思ってしまうのです。

「私」が主語になるいわゆる「感想」ですが、上記記事で言うところの「『私』が「主」、『本』が「従」」というケースが多い気がします*1。「私」が主語になるのですから当然の傾向なのかもしれませんが、つまるところ、「本」そのものではなく「本を読んだ「私」」を見せたいのが「感想」なのかなぁ、と。*2
そういう観点からするとアイヨシが引用した「書評とは、「読み手のストリップ」である。」が言わんとすることもわからないでもないです。「私」を晒すわけですからね。
これはどちらが良い、悪いという話ではなく、「書評」「感想」の区分をする際に大きな違いとして表れているのではないかと思っています。
「この記事は「感想」だから」と予防線を張る場合、守りたいものは「私」なわけで、これが攻撃に転化した場合「オレがそう感じたんだからいいだろ!文句言うな!」とコミニュケーションを拒否する論調になってしまうのかなぁ、と。書評では読み手それぞれの解釈をロジカルにぶつけ合い摺りあわせることで立体的な読みが可能になるのに対し、感想は「同感」はしても議論が無いので記事単体でクローズしてしまう、という印象を受けます。

何のために書くのか?

もちろん、個人的には「私」が「主」であろうと「本」が「主」であろうとかまわないと思います。
しかしながら、例えば「本をダシに自分語りをする」という手法は、別に否定するわけではありませんがフジモリにはちょっと合わないです。極論すると「読まずにその本を語る」こともできるわけで*3、そうなると書評とか感想とかの地平線を越えて、もはや違う世界に行ってしまっていると思います(笑)。なんというか、青臭いかもしれませんが、本に失礼だと思います。
まあ、結局のところ、「感想」「書評」は「手段」でしかないわけで、「何のために書くのか?」という「目的」の方が重要なんじゃないでしょうか。フジモリが書評を書くときに意識していることは、「未読の方にはその面白さを伝え、既読の方には再読したくなるぐらいさらに面白くさせる」です。その目的が達成できているかはわかりませんし、日々精進だとは思っていますが、「目的」のためには「書評」だろうが「感想」だろうがケースバイケースで使い分けてもかまわないし、区分する必要もないかも、とも思えます。
・・・なんか記事当初の論調から予想すらできなかった着地点になってしまい自分でもびっくりしています(笑)。
まあ、「書評」であれ「感想」であれ、大事なのは「本」に対し敬意を払うことなのかなぁ、と個人的には思っていますし、忘れずに今後も書評を書いていきたいなと考えています。
【ご参考】「感想」って難しい - 三軒茶屋 別館

*1:当社比

*2:当然例外もあります。

*3:まあ、まさかそんな人がいるとは思いませんが。