『ムダヅモ無き改革』から麻雀に関する小ネタをいくつか。
- 作者: 大和田秀樹
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2008/09/05
- メディア: コミック
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内容やこの漫画が麻雀漫画にしては異様な注目を集めていることについてはこちらの記事に詳しく書かれています。
●小泉元首相モデルのマージャン漫画 「ムダヅモ無き改革」爆発的売れ行き : J-CASTニュース
wikipediaには
麻雀漫画ではあるが、構成要素のほとんどが「熱いギャグ」であるため、麻雀を知らなくても楽しめるのが特徴。
とあるとおり勢いだけで楽しめますが、同じく読了したアイヨシから内容に関するいくつかの質問をもらいましたので、簡単な説明と薀蓄をつらつら語りたいと思います。*1
国士無双13面待ち
とりあえず主人公・小泉ジュンイチローの決め技「ライジング・サン」こと国士無双13面待ち*2ですが、アイヨシから「国士無双13面待ちってどんな役?国士無双と違うの?」という質問が。
まず結論から言いますと、
「国士無双13面待ちはローカルルールのダブル役満」
です。国士無双とは字牌(東南西北白発中)7種と一九牌6種を1枚ずつそろえ、どれか1種を2枚(雀頭)にすることによって作る役満です。通常は先に雀頭ができ、どれか1枚を待つ形になるのですが、稀にすべて1枚ずつ揃った状態でテンパイすることがあります。この場合、13種=13面で当たり牌を待つ「国士無双13面待ち」と呼ばれ、ルールによっては「ダブル役満(得点が役満の倍)」になります。この13面待ちという多面張(複数待ち)、麻雀の待ちの中では最も広い待ちです。
よく麻雀漫画などで使用される「最強戦ルール」やフリー雀荘などでは「役満は複合のみ」とされ、ローカルルールでダブル役満とされる「国士無双13面待ち」や「四暗刻単騎」、「大四喜」はシングル役満としてカウントされる場合もありますので、仲間内で打つ場合含め事前にルールを確認したほうが良いかと思います。
高めの緑一色
このローゼン麻生の翠星石一色緑一色。アイヨシから「高目で緑一色って?」の質問が。
緑一色というのは、手牌すべてが緑の牌(索子の2,3,4,6,8と字牌の発)で構成された役満です。
索子の1,5,7,9はよく見ると赤い色が混じっています。これを逆手にとって「索子の1,5,7,9と字牌の中」のみで作る「紅孔雀」というローカル役満もあるそうですが、採用しているところはほとんどありません。
で、緑一色のテンパイ時に2−5索待ちだった場合、5索であがると単なる混一色(ホンイツ)になり、この場合だと満貫どまり。高目安目で4倍も得点が違うわけです。
大明槓
記憶を失ったジュンイチローと打つタイゾー。その際、東を「大明槓」してジュンイチローにプレッシャーをかけます。んで、アイヨシから「槓に大小ってあるの?」という質問が。「そういや、大明槓って言うけど小明槓って言わないなぁ」と思い調べてみました。
通常、槓には2種類あって、手持ちに4枚あるときに行なう「暗槓」と他人の捨て牌を利用する「明槓」があります。さらに「明槓」にも2種類あり、手元に3枚(暗刻)があり、他人の捨て牌で槓を行なうことを「大明槓」といい、手元に2枚あり「ポン」をした後に4枚目の杯をツモってきて「槓」にすることを「小明槓」と言います。「小明槓」は「加槓」とも言い、こちらの言い方のほうがメジャーかと思います。
天地創世
轟盲牌(牌を盲牌で削り取り字牌の白にする技。もちろんイカサマ)により手牌全てを白牌にした「天地創世」。青天井ルールなので得点は908溝6519穣5024?3594垓8349京9283兆6857億6135万1700点という、いままで読んだ青天井ルールの麻雀漫画では最高値の上がり。
このあがりに「イカサマじゃね?」とツッコミを入れるのは野暮なので、同様に「5枚目」が登場する麻雀をご紹介。
アイドル雀士 スーチーパイ
アイドル雀士スーチーパイに始まるジャレコの一連の麻雀ゲームは、イカサマ上等!のルールですので既に場に4枚切られている牌でも平気でツモることができます。TVゲームの麻雀の多くは、ツモるごとに抽選を行ないます。実際に牌を積む麻雀と異なり、次にツモる牌はツモってみないとわからない、「シュレディンガーの猫」なわけで、逆に言うと「有効牌をツモる確率」がそのまま「運」に直結するわけです。「あがり牌をツモる確率」というより、「あがる確率」として演算するのがTVゲームなのです。まさにナイトの不確実性!(言ってみたかっただけ)
つまり、「イカサマOK」とした時点で5枚目の牌があろうが18枚白があろうがOK!というロジックが通用する、と言えます。
まあここまで無茶苦茶じゃなくても、麻雀漫画をちらっと齧った人なら思い浮かぶのが福本伸行『天』の東西麻雀のこの場面。
●白の多牌
上記リンクで書かれている通り「一事不再理」とすると、「上がった時点でどんなにイカサマだろうと役は成立」なわけで、そうなると天地創世が成立してしまいます。あれー。
とすると相手が止めるには「轟盲牌で白に削っている間に『イカサマだ!』とストップする」しかなかったわけで、相手がその行為に思い至らないほどの「迫力」があった、という解釈にしておきましょう(笑)。
まあ、野暮を承知でいろいろと解説してみました。ハチワンと異なりこの漫画を読んで麻雀を始めようと思う豪の者はいらっしゃらないと思いますが(笑)、この解説で『ムダヅモ無き改革』をよりお楽しみいただければ幸いです。
・・・なんかこの記事書いてたら麻雀したくなりました。とりあえずmaru-janあたりで打ってきますー。