記事に対する対価

対岸の火事と思っていました某レビュー検索サイトに当サイトも無断で記事をぶっこ抜かれてましたので、一当事者として一言意見を言いたいなと思います。*1
このレビュー検索サイト、立ち上げ当時はネット上の書評・感想を機械的に集めて全文ぶっこ抜きで表示、しかも一部無断で行なっているのにあたかもそのサイトがレビュアーとして登録しているかのように表記していました。
当然のように一部(特に大手・中堅サイト)で「いかがなものか」と苦言があり、現在はレビューの一部を表記するというシステムに変更されています。
しかしながら無断でのぶっこ抜きは未だに続いているわけで、当サイトも被害(そう、被害です)にあったというわけです。
当サイトの例で言いますと、書評の一部が無断で引用され、当サイト自身がレビュアーとして登録されています。引用された記事のなかにエイプリルフールのウソ書評が含まれているのもいとをかし。メール、コメント、掲示板などで「登録しました」の報告も一切なし。フジモリがたまたま「三軒茶屋別館」でgoogle検索したら引っかかった(しかも上位に!)ことから発覚しました。
自分の感覚として例えると、自分が精魂込めて作ったケーキが勝手に転売され、しかも堂々と「『三軒茶屋』製のケーキ」として売られているのに近い印象を受けました。
普通のニュースサイトさんや書評まとめサイトさんは、収集はなにかしらのツールを利用して行なうかもしれませんが、記事の内容を吟味し紹介していると思います。先ほどのケーキの例で言うなら、自分が食べて美味しいと思ったケーキを「○○から仕入れたケーキ」として店先に並べるわけです。この場合、仕入れ元のサイトに敬意を払っています。
しかしながらこのレビュー検索サイトはケーキと名のつくものを片っ端から集めてそのまま店先に並べ「ケーキは何でも取り扱っています!有名なあのブランドのケーキも売ってますよ!」と言っているわけで、そりゃケーキ屋さんにしてみればたまったものではないと思います。
実際こういう被害は本館の頃にも受けたことがありまして、本のタイトルから機械的にサーチされ書評をぶっこ抜かれ、アフィリエイトに誘導するというバッタ屋サイト(←フジモリ命名)にリンクされるということがありました。今回はたまたまそのサイトの管理者の「顔が見えた」ために大きなバッシングとなったわけですが、まあ多かれ少なかれ今後も出てくることでしょう。
ちょっと話を脱線させますと、「バッタ屋」というのは「商品を格安で提供する店」が生じて「正規ルートを通さず仕入れた商品を売る店」という意味で使っています。倒産した店から格安で仕入れたり、いわゆる犯罪的な手法で入手したとおもわれるところからありえないほど格安で仕入れたり、といった具合に仕入れの値段を抑えることで格安で販売することが出来るわけです。
で、「バッタ屋サイト」というのは、「正規ルートで商品(記事)を仕入れず販売(表示)している」という点からフジモリが勝手に名づけました。この場合の「正規ルート」と言うのは、「商品(記事)に対して対価を支払う(内容を吟味する)」ということです。
フジモリの考え方が古いのかもしれませんが、「商品(記事)」に対する「対価」は、「読者がかける時間・興味」だと思っています。(単純に「時間」としないのは、人によって記事を読むために費やす時間が異なるためで、真剣に読んでいただけるなら1分かかろうが30分かかろうが、ほぼ同価値と考えます)
このレビュー検索サイトが他のレビューまとめサイトと異なり不快感を持たれているのも、対価を払わず商品を買われていると受け止められているのがひとつの原因かな、と考えます(実際フジモリはそう感じました)
今回のぶっこ抜きで不快に思ったことは事実ですが、「なぜ不快に思ったのか?」を掘り下げることで学ぶものもありました。勉強代として(しばらくの間は)引用削除の依頼は出しませんが、他山の石としたいと思います。

*1:不快なためリンクは張りません。このレビュー検索サイトについては平和さんのこの記事がよくまとまっていると思います。http://d.hatena.ne.jp/kim-peace/20070520/p1