キュートなお嬢様が「世界」を知る物語 笠井スイ『ジゼル・アラン』

ジゼル・アラン (1) (ビームコミックス)

ジゼル・アラン (1) (ビームコミックス)

雑誌『Fellows』連載の、笠井ケイのデビュー作です。
森薫乙嫁語り』2巻に試し読み付きでこの漫画の広告が挟み込まれており、その絵柄と物語世界にみごとに一本釣られたのはフジモリだけではないと思います。
20世紀初頭のヨーロッパ。
主人公である少女、ジゼル・アランは、アパートの大家であり、またアパートの住人であるエリックを引き連れて「何でも屋」を営んでいます。
彼女に飛び込む様々な依頼を悪戦苦闘しながら解決していくにつれ、彼女は様々な「世界」を知っていく。。。というお話です。
読んでまず目を惹くのが、その美麗な絵柄。
*1
舞台背景の親和性もあいまって、森薫を彷彿とさせる優しくも描き込まれた1コマ1コマを、「読む」のではなく「観て」しまいます。
物語は、どこかのお嬢様と思われる謎の大家さん・ジゼルがホームズよろしく日常のざまざまな事件に体当たりで挑んでいきます。
世間知らずで好奇心旺盛で、真っ直ぐなジゼル。
その「目」には並々ならぬエネルギーと意志が溢れています。
*2
彼女の飛んだり跳ねたりする様をお付きのエリックと同じ視線でハラハラドキドキ眺める、というのがこの漫画の正しい楽しみ方だと思いますし(笑)、彼女の知っていく「世界」そのものを彼女の目線と同一に「見る」こともまた楽しみ方だと思います。
魅力的な舞台と登場人物たちによる物語、続きが楽しみな1冊です。
【ご参考】笠井スイのblog「鳩」

*1:P4

*2:P58