福島久美子『水晶石の森』ビームコミックス

水晶石の森 (BEAM COMIX)

水晶石の森 (BEAM COMIX)

雑誌『Fellows!』連載の連作短編集です。

慈愛の力に満ちし、不思議の森の中で。エブリデイ・マジック。
清らかな水が育んだ結晶は、やがて石となり、森を包み込む。ミイ、師匠、氷、大介、そしてププたちの日常は、毎日が驚きのワンダーランド! 腹を空かせた人食い鬼の相手をしたり、涙を流す火星の女王をなぐさめたり。たとえ不思議の世界にも、日々の明かりはともり続けていくのだ――。新鋭・福島久美子が描く7篇+αの物語を一冊に収録。
作品紹介より

なんというか、久々に「なんと表現してよいのかわからない」漫画に出会いました。
絵本を思わせるような優しいタッチの絵柄なのに、内容は宇宙人からファンタジーから平安時代からと実にカオスな物語世界。
いちおう、「水晶」というタイトルにあるように魔法使いの弟子とその師匠の不思議な日常を描いているのですが、なんともいえないハチャメチャさを感じました。
なんというか、ルイス・キャロル『不思議な国のアリス』のような狂気を感じる、といったら過言かもしれませんが(笑)とにかく絵柄に騙されると痛い目に遭う、そしてそれがまた妙な快感になる不思議な作品です。

漫画と言うよりも絵本を、それもとびっきりはっちゃけた絵本を読んでいるような感覚になる一冊でした。
物語というよりも「物語世界」をあじわう作品だと思います。絵柄や内容にクセがあるので万人にはオススメできませんが、フジモリ個人としては2巻も楽しみにしています。