桂明日香『神話ポンチ』ヤングガンガンコミックス

神話ポンチ 1 (ヤングガンガンコミックス)

神話ポンチ 1 (ヤングガンガンコミックス)

ハニカム』『そこはぼくらの問題ですから』など綺麗な絵柄ながら変なキャラクタたちのどたばたコメディを描くのが上手な桂明日香のコメディ漫画です。
卑屈の道を極めるネガティブな主人公・有形梯守は、ふとした拍子に不思議な美少女・辺部空子が持つ不思議な神像を体内に取り入れてしまう。意識を失った梯守が起きると、目の前には辺部空子ともう一人、変な格好をした美女・アテナが。梯守が取り込んだその神像は「狂気の神」リュッサの化身であり、ネガティブな想いが強くなると宿主を殺してしまう=卑屈になると死んでしまう、のだそうだ。
アテナは梯守をポジティブにするため、梯守と同じ高校に転校生として入学するなど様々な手段でつきまとってくるのだが。。。というお話です。
「神話」+「日常コメディ」といえば真っ先に頭に思い浮かぶのは、中村光聖☆おにいさん』ですが、この作品は、ブッダとキリストを現代の立川に君臨させた設定だけで「出オチ」なコメディでありつつ、聖者のエピソードをうまく物語に組み込んだ異色のギャグ漫画なのでした。
『神話ポンチ』もまた、登場人物としてギリシャ神話の神々が多々登場します。こういった、「誰でも知っているエピソードを持つ」キャラクタでありながら、そのエピソードを現代に持ち込むことでギャップが生じ笑いになる、という一点だけでも、「かなり深くて広い鉱脈を見つけたなあ」と感心したのが第一印象でした。
アテナはポジティブなバカだし、アルテミスは天然どじっ子だし、ヘルメスは腹黒策士だし、と神話の元ネタを知っていると二重に面白いこと請け合いですし、まさに「これなんてリアル『ああっ女神さまっ』」な女神ハーレムラブコメで気楽に読める一冊です。
桂明日香の描く女性はエロカワイイのですが変にエロすぎないのでコメディの絵柄とも合っている気がします。
*1
新鮮味、という点においてはやや疑問符がついてしまうものの、物語の「鉱脈」を味わえる一冊だと思います。
【ご参考】作者公式HP「ad lib」

*1:P21より