第64回新人コミック大賞入選作『雪と花』盤面チェック

 ビッグコミックオリジナル9月増刊号に、第64回新人コミック大賞入選作『雪と花』(作者:門脇由)が掲載されています。将棋を題材とした漫画なので盤面を簡単にご紹介。
●第1図(p148より)

 ユキの玉は手付かずなのに対し、中村君の玉は受けがないので投了もやむなし。ですが、そういう問題ではありません(笑)。相手の駒を全部取ってしまうことを”全駒”といいますが、この局面はそれに近いフルボッコ状態です。実力差があるからこそですが、こんな勝ち方ばかりしてたら相手にしてもらえるだけありがたいです。
●第2図(p151より)

 詰将棋。▲2三飛△1二玉▲1三飛成△同玉▲2五桂△同歩▲2四銀△1二玉▲2三銀成、までの9手詰めです。ハナが持っている本に「塚田」という名前がありますので、もしかしたら塚田正夫九段、もしくは塚田泰明九段の詰め将棋が元ネタとしてあるのかもしれません。それにしても、学校の図書館に将棋の本があるといいですよね(笑)。
●第3図(p153より)

 持ち駒の歩の枚数はユキが1枚でハナが4枚かもしれません。この局面は後手の手番だと思われます。先手が少し優勢だと思いますが、小学生の将棋としては熱戦だといえるでしょう。
●第4図(p167より)

 ユキとハナが将棋盤なしで口頭のみで行なっている将棋、いわゆる脳内将棋を盤面に起こすと図のようになります*1。先手は一歩を手にしましたが、後手は中飛車の好形に組めて不満はありません。まだまだこれからの将棋です。
●第5図(p175より)

 持ち駒や盤上の駒の配置に一部不明な点があるのですが推測で作ってみました。先手の手番で、先手が飛車か角を切れば先手玉に詰めろがかかり、かつ、先手が飛車を切った場合に△6六金から詰む、という条件を一応満たしています。おかしな点などがあればご指摘いただければ幸いです。

*1:手順は、▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩▲2五歩△5二飛▲7八金△6二玉▲6九玉△7二玉▲4八銀△8二玉▲7七角△7二銀▲6八銀△5五歩▲2四歩△同歩▲同飛△3二金▲6六歩△4二銀▲7九玉△5三銀▲2八飛△2三歩▲5八金△9四歩▲9六歩△7四歩▲6七銀△5四銀、です。