宮本福助『この度はご愁傷様です』講談社

この度は御愁傷様です (モーニング KC)

この度は御愁傷様です (モーニング KC)

 『拝み屋横丁顛末記』の宮本福助によるコメディです。
 タイトルの通り、死んだ祖父を巡るドタバタ喜劇なのですが、のっけから
「遺産分配はダーツで決めろ」
 と読者の度肝を抜く展開。おまけにダーツの的には「タワシ」とか書いてるし(笑)。
 死んだ祖父に振り回される息子たちとの対比もあり、死んでいながらも一番「キャラが立って」います。
 祖父の残した家には近所の老人たちが住み着いていたり、残された愛人が訪問したり、埋蔵金を残してみたりと、最後の最後までドタバタは続きます。
 最近では「ホームドラマ」「ホームコメディ」というジャンルはめっきり少なくなったと思いますが、本書はそんな「古きよき」ホームコメディを見事に復活させていると思います。
 基本的に1話完結ですが、連続ドラマ的に伏線が開花する部分もあります。
 「死者」に振り回される「生者」を笑いながらも、「残されたもの」に対する思いやりが感じられ、ちょっとしみじみしました。
 「自分が死んだときは・・・」なんて思いを馳せることもなく、ただただ楽しめる快作でした。
拝み屋横丁顛末記 (1) (ZERO-SUM COMICS)

拝み屋横丁顛末記 (1) (ZERO-SUM COMICS)