胸のサイズが事件の鍵を握るミステリ

「胸が大きくてよかった…」タレントに逆転無罪−MSN産経ニュース

 女性は1審で、「小桜被告はけ破ったドアの穴をすり抜けてマンション内に入ってきた」などと証言。1審判決は、女性の証言の信用性を認めていた。
 一方、2審では同じサイズの穴のあいたドア模型を使い、小桜被告が穴をくぐれるかを実験。小桜被告の胸囲が約1メートルあり、くぐるのが不可能だったことが分かり、女性の証言の信用性が崩れた。

 無罪判決というだけでもきわめて珍しいのに、その理由がこれですから*1驚きです。
 胸の大きさが事件の鍵を握るミステリというのもないことはないです。たとえば、阿刀田高囲碁好きの和尚さんが探偵役をつとめる短編集『Aサイズ殺人事件』(創元推理文庫)に収録されている「Aサイズ殺人事件」です。タイトルにあるAサイズとは女性の胸のサイズのことでして、その名のとおりにAサイズが事件の鍵を握っています*2。また、バルーン・タウンという妊婦さんが集中して生活をしている特殊な地区を舞台にした松尾由美の短編集『バルーンタウンの殺人』(創元推理文庫)に収録されている某短編でもやはり胸のサイズとかが事件の真相に大きく関わっているものがあります。他にもこの手のトリックを扱っているものがありましたらご教示いただけたら幸いです(ペコリ)。
 とはいうものの、これらの小説をいくら挙げたところで、インパクトという面では実際に起きた事件には到底かないません。「事実は小説より奇なり」とはいいますが、まさにそれを地でいくエピソードです。小説家も大変ですね(笑)。
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Aサイズ殺人事件 (創元推理文庫)

Aサイズ殺人事件 (創元推理文庫)

バルーン・タウンの殺人 (創元推理文庫)

バルーン・タウンの殺人 (創元推理文庫)

*1:もっとも、マスコミが特に面白いところを強調しているだけで理由はほかにもあるかもしれません。そこは判決文をきちんと読まないといけませんが。

*2:ネタばれはネタばれなのですが、タイトルにもあることですし、その筋では有名だと思いますし、今回だけは特別に大目に見て下さい(汗)。