王者内藤が正月特番で羽生2冠に挑戦

王者内藤が正月特番で羽生2冠に挑戦 - 芸能ニュース : nikkansports.com
 『大逆転将棋』は毎年お正月に放映されている特番です。
 投了図というのはその一局の縮図です。基本的には詰みが見える局面がほとんどですが、中には、「プロ的には大差かもしれないけどアマから見れば難しいんじゃね?」というのがままあります(例外中の例外ながら、勝ってるのに勘違いして投了しちゃう、というのも稀にあります)。ですから、投了図によっては、仮に勝った側を持って指しても正着を指せなかったり、あるいは負けた側に勝負手を連発されたりすると、たちまち混戦→逆転ということになりかねません。今回は旬の人:内藤大輔が羽生二冠に挑むということですから、どんな対局になるのかとても楽しみです。
 ちなみに、今年一番印象に残った投了図として多くの将棋ファンが挙げる図は、おそらくこれではないでしょうか。
●投了図(絶局図*1

(33手目は▲6七銀引)
 2007年10月30日に行なわれた第66期順位戦C級2組6回戦:豊島将之四段対真部一男八段(当時*2)の将棋です。順位戦というのは持ち時間6時間で行なわれますから、深夜の決着というのも珍しくありません。それが午前中での突然の投了ということで話題になりました。普通、投了図というのは、非勢に追い込まれた側が指し手に窮して投了することで図となるわけですが、この投了図はどう見てもまだまだこれからの将棋です。何を指すのか? 指されるのか? イマジネーションに満ち溢れた局面での投了です。この局面で駒を投じた真部九段の心境はいかばかりのものであったか。この図を表現する言葉が私には見つかりません。
 果たして次の一手はどのようなものが用意されていたのか? その答えが11月27日に行なわれた第66期順位戦C級2組7回戦:村山慈明四段対大内延介九段戦で示されました。投了図までまったく同じに進んだ局面から、△4二角!(図)
●図

 「4二角なら勝ちだった」(2007年12月5日付『週刊将棋』21面より)と真部九段が述べていたとのことですが、それが実現されたことになります。この手は、△9二香〜△9一飛の端攻めを狙った手です(実戦もその通りに進行)。先手は▲8九銀と美濃囲いを崩し、さらに▲7九角と自陣角を投入して端を守って辛抱しましたが、将棋は中盤まで大内九段の優勢で進みます。しかしながら決めきれず、終盤で勝負手を放った村山四段が勝利を手にすることになりました。とてもいい将棋でした。

*1:真部九段の公式戦最後の将棋です。

*2:2007年11月24日死去。同日付で九段追贈。