『棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ 2』(きゆづきさとこ/まんがタイムKRコミックス)

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (2) (まんがタイムKRコミックス)

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (2) (まんがタイムKRコミックス)

ぼくが本当にやりたいのは、世界を測定し、考えて、そして、その仕組みをいくらかでも明らかにすることだ。自分の好みに合うように、世界を作り変えることなんかじゃなかった。
『ジョン平とぼくらの世界』大西科学GA文庫)p235より

 ようやく出ました第2巻。いやー長かった(笑)。1巻の時点で傑作だと思ってましたけど、2巻はもっと面白くなってます。素晴らしいの一言です。観賞用と保存用と布教用の3冊を揃えるような趣味は私にはありませんが、このシリーズに関しては検討してしまいます。それくらい絵が綺麗ですしカラーページは美しいです。
 物語は4コマのリズムで淡々と進んでいくのですが、そのコマの中を元気に動き回るニジュクとサンジュの姿が微笑ましいです。これだけちゃんとしたストーリー漫画だと、そろそろ4コマ漫画でやってくのも大変だと思うのですが、それでも4コマでやっていくストイックさが童話めいた雰囲気の中に緊張感を醸し出していて、ついつい入り込んでしまいます。それだけに、たまに現れる5コマ目や普通の漫画みたいなコマ割りの表現が際立ちます。
 とても可愛らしい絵柄ではありますが、この巻では結構えぐいシーンもちゃんと描かれています。「お伽話ってのは残酷なくらいに羨ましいもんだ」(p25)ってセンのセリフがありますけど、お伽話って、それとは逆に羨ましくないくらいに残酷なときがありますよね。そんなお伽話の両面を描くことによって、物語に起伏と奥深さとが生まれているのだと思います。
 本書から、クロとセンの過去が少しずつ明らかになります。旅を始めたばかりの頃のクロ、眼鏡と帽子の由来、そして棺の意味。クロがニジュクとサンジュにハカセの死をちゃんと語らないのはズルイと感じていたのですが、その理由も本書を読んで少し分かりました。モーとの別れは、モーの死を背負うことにしたクロにとっては単なる別れとは言えないわけで、それを二人の子どもに語ることはモーを過去の人として扱うことになりますし、それはモーとの思い出に背くことになってしまいます。
 昔の話も染み入るものがありましたが、ニジュクとサンジュとの旅の話も相変わらず面白かったです、一押しはロバの話です。コミカルな話に完璧なオチ。クオリティ高! とにかくいくら褒めても褒めたりません。大勢の人に読んでもらいたい物語です。願わくば、次の巻が少しでも早く出ますように(笑)。
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