『煌夜祭』(多崎礼/C☆NOVELS)

 第2回C☆NOVELS大賞受賞作です。この賞は、基本的にはファンタジー作品が対象らしく、本書もファンタジーであることは間違いないですが、それでも、原稿を送る出版社を間違えたんじゃないかと思わずにはいられません。
 本書を面白かったと思えた方に、「じゃ次はこれ」とオススメするとしたら、『ななつのこ』『ぼくのミステリな日常』辺りがパッと頭に浮かんできます。つまり、ファンタジーとしてどうこうと言うより、連作短編ミステリとして傑作なのです。逆に言えば、純粋にファンタジーとして楽しめるのかと聞かれたときに、それには少々難があるというのが本音でもありまして(∵魔物というものの存在に引っ掛かりを覚えずにはいられない)、ですけど、それを無視してしまえるだけの魅力があるのもまた確かです。
 何も知らずにファンタジー作品だと思って読み始めるのが、本書との出会い方としてはベストだと思いますが、それだとミステリ読みに読まれる確率が低すぎると思ったので、あえてこうして紹介してみました。てなわけで、変わったミステリが読みたいという方に強くオススメしたい一冊です。

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)