木村航『串刺しヘルパーさされさん〜呪われチルドレン〜」HJ文庫
ホビージャパンから新たに出たラノベ文庫ですが、フジモリが追っかけている木村航作品なんで読んでみました。
呪われ者の中でもひときわスペシャルな呪いを受け「菊級呪感者」と呼ばれる佐々岡支恵こと「さされさん」は、胸に大きな剣が刺さった串刺し娘であり、ホームヘルパー。今回派遣されたのは「呪われ屋敷」と呼ばれ三兄弟全員が呪われ者の家で…という話。
「ぺとぺとさん」に代表されるように、木村航は「妖怪」「呪い」「追放者」と主人公に大きなハンデキャップを課す作品が多いです。フジモリが以前論評していますが本来「ハンデキャップ=困難」とは主人公が克服するためのものであり(これを「竜退治」と模しています)、その過程が物語の原動力となるものですが、木村航は困難の克服を物語の目的とせず、「あなたの抱えている困難は、自分(=主人公)の困難に比べれば小さいものだ」という、「困難を抱える登場人物の解決策」として利用しています。
この作品でも、大きな呪いを受けているさされさんがその呪いを苦にせず、他の呪われた登場人物に対し、「そんなの小さい小さい!」と悩みを吹き飛ばしていきます。その痛快さが読むものにカタルシスを与え、気持ちを前向きにさせる、そんな話だな、と思いました。
木村航作品が好きな人なら読んで損は無い一作かと。
串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~ (HJ文庫)
- 作者: 木村航,中村哲也
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 文庫
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