道満晴明 『ニッケルオデオン 赤』 IKKICOMIX
- 作者: 道満晴明
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/01/30
- メディア: コミック
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道満晴明の作品は『ヴォイニッチホテル』のプチ書評でも紹介しましたが、『ぱら☆いぞ』『性本能と水爆戦』など主に成年漫画雑誌をフィールドに活躍している漫画家です。
●薄めきれない「らしさ」 道満晴明『ヴォイニッチホテル』
個人的には『ぱら☆いぞ』の破壊力が半端なく好きなのですが、今作『ニッケルオデオン 赤』はどちらかというと「斬れ味鋭い」作品です。
深夜の動物園でライオンと会話する少女、閉じ込められた校舎でのデスゲームしりとり、失われた左手首を探す少女など、各話それぞれは8ページと短いものの、ヤマありオチあり、まるで星新一のショートショートを読んでいるかのような、はたまた藤子不二雄のSF短編を読んでいるかのようなクオリティ。
それぞれに「エロス(性)」と「タナトス(死)」が同居し、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、寂しさを覚えるような話の閉じ方は「斬られたことに気づかない鋭さ」というよりも「あえて刃こぼれさせた痛みを残す斬れ味」だと思いました。
単なる短編の集合体ではなく、そこはかとなく各話が繋がっていることもあり「ひとつのお話」として楽しむことが出来ます。
1月に発行されたマンガではありますが、間違いなく年末には2012年のランキングに挙げていると思います。
じっくりと味わいたい、まさに珠玉の短編集。オススメです。