ハチワン外伝『ザンガード』将棋講座

ザンガード (ヤングジャンプコミックス)

ザンガード (ヤングジャンプコミックス)

 ハチワン外伝『ザンガード』(柴田ヨクサルヤングジャンプ・コミックス)をヘボアマ将棋ファンなりに解説したいと思います。
●第1図(p22〜23より)

 斬野といえば本編では三間飛車をよく指していますが、本局は居飛車を選択します。対するそよは四間飛車から穴熊に。そうはさせじと斬野は急戦(棒銀)による仕掛けを敢行。そよが穴熊を完成させる前に戦いが始まります。
●第2図(p25より)

 戦いながら一度は穴熊に潜ったそよの玉ですが、斬野の猛攻によって穴熊から引っ張り出されてしまいます。そして放たれた▲6二金。▲7一銀△9一玉▲8二銀の詰めろと5二の角取りという二つの狙いを持った厳しい手です。守備駒として頼りの金は3一のそっぽにいて後手玉は丸裸。おまけに「金なし将棋に受け手なし」という格言もありますが、そよの持ち駒は飛角銀桂に歩が二枚。絶体絶命のように見えますが……。
●第3図(p42より)

 なにはともあれ詰めろは解消しないといけないので△7一銀。斬野は当然▲5二金と角を取ります。そこで遠くから自陣に利かす△2五角。先手の攻め駒である金を責めて受け切りを図ります。金を取られてはいけないので斬野は▲6一角とつなぎますが……。
●第4図(p43より)

 △3二龍。最大の攻撃力を誇る龍を引くことで自陣の強化を図る一手です。ですが、そよの受けはまだまだこんなものではありません。数手進んで第5図。
●第5図(p46より)

 なんと、もう一枚龍を作って自陣に引きました。3枚の大駒による鉄壁の陣。せめてもの抵抗で斬野は2五の角を消しますが……。
●第6図(p49より)

 投了図。風前の灯に見えた後手玉が自陣の二枚龍によってあっという間に鉄壁となってしまいました。しかも攻め駒の金も取られてしまいそうです。斬野はここで戦意喪失。投了します。いつの間にやら受け切りに追い込まれてしまいましたが、さりとて、中断以降の斬野の指し手に問題があったように思えません。つまるところ、優勢と思われた局面が優勢ではなかった、ということになるのかもしれません。それにしても鮮やかな「受け」です。
 ちなみに、この将棋には元棋譜があります。1999.12.14順位戦:勝又清和対鈴木大介戦(将棋の棋譜でーたべーす)がそれでして、元棋譜の方ではこの後も少し指し続けられているのですが、結局「受け切り」となっていますので参考まで。


 以上ですが、何かありましたら遠慮なくコメント下さいませ。ばしばし修正しますので(笑)。



【関連】
・『ハチワンダイバー』単行本の当ブログでの解説 1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻 10巻 11巻 12巻 13巻 14巻 15巻 16巻 17巻 18巻 19巻 20巻 21巻 22巻 23巻
柴田ヨクサル・インタビュー
『ハチワン』と『ヒカルの碁』を比較してみる