諫山創『進撃の巨人』講談社

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)

進撃の巨人(2) (講談社コミックス)

進撃の巨人(2) (講談社コミックス)

別冊少年マガジンにて連載されている諫山創のデビュー作です。
帯に「各誌・ブログで相次ぐ反響!!」と書かれていたので天の邪鬼なフジモリとしては逆に一歩引いていたのですが(笑)、2巻発売を機に購入。
読んでみると、なるほど、一押ししたくなるのもわかる、ハードな漫画でした。

巨人族に侵略され人類の生存範囲が極端に狭められた世界。
巨大な壁によってつかの間の平和を謳歌する人類でしたが、その壁を越える「超巨大な」巨人の登場によってその平和は破られます。
破壊された壁から次々と進入してくる巨人。人々は一人、また一人と巨人の餌になっていきます。
この侵略で母を失ったエレン・ミカサの兄妹は、5年後、訓練学校を卒業し対巨人兵隊の一員となります。
卒業記念パーティのさなか、再び巨人が侵略してきて・・・
という物語です。
読んでいてまず感じたのが、「巨人」に対する「圧倒的な絶望感」です。
次々と巨人の餌になる人類、生半可な武装では相手にならず、兵士たちも次々と殺されていきます。
ゾンビものや寄生獣など、「人類の敵」による侵略ものはありますが、「巨人」という存在が、見た目含め威圧感、絶望感をビジュアル的に与えてきます。

まさに、ウルトラマンが出現するまでの地球防衛軍エヴァンゲリオンが完成する前のネルフのようなものです。
モブではなく名前が付いてエピソードを持ったキャラたちが惜しみなく殺されていく様子は、「人が死なない」漫画に慣れた身としてはほどよい刺激になります。
絵は荒削りなものの、いや、だからこそ、巨人の与える恐怖が巧く描かれていると思います。
そしてまた、巨人に侵略された世界という「世界観」がうまく構築されています。巨人から守るために構築された巨大な城壁、巨人の唯一の弱点である「首の後ろ」を攻撃するために生まれた武器や移動方法、軍隊の種類などなど、しっかりと練られているように思えます。
そしてその世界観の中で、主人公の兄妹をはじめ一癖もふた癖もあるキャラクターたちが巨人に立ち向かい、あるものは殺され、あるものは食われ、そしてあるものは生き残っていきます。
個人的には2巻の最後の展開はどうかなぁ、などと思ったりもしていますが、それも含めて、刺激的で、続きが気になる漫画だと思います。