『まんがでクラシック』でクラシックを学ぼう

まんがでクラシック

まんがでクラシック

タイトルだけ見ると「クラシック音楽について漫画でわかりやすく学ぼう!」という学研まんが的なものを想像されるかもしれませんが、さにあらず。
15作のクラシック音楽漫画を題材に、作中で取り上げられている名曲やクラシックの基礎知識を紹介している本です。
取り上げているマンガは以下の通り。
二ノ宮知子のだめカンタービレ
さそうあきら『神童』
さそうあきら『マエストロ』
池田理代子オルフェウスの窓
一色まことピアノの森
くらもちふさこ『いつもポケットにショパンを』
手塚治虫『虹のプレリュード』
手塚治虫『ルードウィヒ・B』
山田圭子『(VS)バーサス』
勝田文『あのこにもらった音楽』
マツモトトモ『キス』
吉野朔実『グールドを聴きながら』
能條純一アレルヤ
福山康治『マドモアゼル・モーツァルト
曽田正人『昴』

巻頭は『のだめカンタービレ』特集。まあ、クラシック漫画といえば真っ先に名前が挙がるほど、クラシック音楽を人口に膾炙させた第一人者である『のだめカンタービレ』。簡単なあらすじ紹介のち、作者インタビューが掲載されています。内容は『のだめ』にいたる経緯など、様々な雑誌インタビューで書かれたことが多く目新しさは余りありませんが、コンパクトながら要所を押さえまとまった記事だと思います。以前フジモリが記事にした音楽シーンの描写についてのこだわりなどについても書かれており、けっこう面白かったです。
【ご参考】漫画が表現する「音楽」 - 三軒茶屋 別館
そのほか取り上げる本も面白いものが多く、幸いにもフジモリは未読な本が多かったため今後の参考になりました。
各マンガで登場した曲についての解説や作曲家のプロフィール、生没年表、音楽史年表、用語集などなどこれ一冊あればクラシックに入門できると言って過言ではないほど良くまとまっている良書だと思います。こういう横断的にクラシック漫画とクラシック音楽の基礎を網羅している本はあまりなかったので、フジモリも今後音楽漫画の記事を書くときにパソコンのわきに置かせてもらいます(笑)。
最近ではブラバンマンガや軽音楽マンガの隆盛もありクラシックマンガの影が若干薄くなっている気もしますが*1、だからこそ漫画を通してクラシックに入門したい方々にはオススメできる一冊だと思います。

*1:それでも昔に比べて多いと思いますが