マンガナツ100コメント(その9)

漫画ナツ100(フジモリ@三軒茶屋の場合) - 三軒茶屋 別館
コメントその9です。
これでめでたくフジモリのナツも終了。つくつくほーし。
91)カミヤドリ/三部けい
人間を異形の怪物に変えてしまう伝染病・カミヤドリと右腕に特殊能力を備えた戦闘専門のエージェント「右腕」との戦いを描くゴシックパンクアクションマンガ。
作者は荒木飛呂彦の元チーフアシスタント。奇病に冒された人々を容赦なく滅ぼす人々の苦悩が読むものの胸を打つ。
92)黒鷺死体宅配便/山崎峰水
「死体と会話できる」主人公・唐津九郎をはじめとする某仏教大学の学生5人が、依頼人(死体)の望みを聞いて報酬と引き換えにその願いを叶えていく、ホラー(?)マンガ。
死体が依頼人という奇妙なマンガだが、設定が練りこまれているので単なるホラー以上に楽しめる。「多重人格探偵サイコ」に出てくるキャラも登場するところも面白い。
93)ピルグリム・イェーガー/伊藤真美
暗黒時代と呼ばれている中世のイタリアを舞台に、「愚者」軽業師・アデールと「運命の輪」占い師・カーリンを中心に繰り広げられるダークファンタジーマンガ。
異能者バトルマンガだが、実在の人物(ミケランジェロやザビエルなど!)も登場し世界史をかじった人なら興奮すること請け合い。現在「第一部・完」状態だが(以下略)。
94)もっけ/熊倉隆敏
勿怪(妖怪のこと)が見える姉・静流と勿怪に憑かれやすい妹・瑞生の姉妹と、彼女らを取り巻く妖怪たち描く妖怪マンガ。
妖怪は滅ぼすものではなく共存するもの。妖怪たちとの接触を通じ成長していく姉妹たちの様子が物語の肝。牧歌的な雰囲気も○。
95)センチメントの季節/榎本ナリコ
女子高生の性と生を描く短編集。青年コミックではないですがお子様は読まないでください。
えっちい描写が多々あるが読者を興奮させる目的ではなく、少女たちが抱える問題を淡々と描いている。「少女性」をテーマとした物語は桜庭一樹に通じるものがある(と思う)。
96)ニアアンダーセブン/安倍吉俊
宇宙人・ニアと極貧予備校生・まゆ子のどーってことない日常を描くドタバタSFコメディ。
「Lain」でおなじみ安倍吉俊の綺麗なタッチととぼけた内容のギャップが見事。
97)アーケードゲーマーふぶき/吉崎観音
無敵の女子高生ゲーマー・ふぶきが繰り広げるゲームバトルギャグマンガ
現代版・ゲームセンターあらし。「ケロロ軍曹」のキャラクタ(や名前)も一部登場するなど芸が細かい。
98)そっと好かれる/小田扉
変な女の子たちの変な日常を描く短編集。
とぼけたタッチで描かれる変な日常がシュールで良い。
99)Forget-me-not/鶴田謙二
ヴェネツィアを舞台に探偵と怪盗のまったりとした勝負を描く。
とにかく絵が綺麗。キャラクタはもちろん、背景の書き込みがすごい。
100)召喚の蛮名/槻城ゆう子
神智科という魔法使い養成学級に編入した主人公・栃草緋不美がさまざまなトラブルに巻き込まれる、クトゥルー神話を下敷きにした学園異能マンガ。
クトゥルーというオカルト心をくすぐる題材であり、非常に骨太の作品であり、個人的に続刊を最も待ちわびるマンガである。



長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。