千野帽子『文學少女の友』青土社

俳人である千野帽子の、本をネタにしたエッセイ集。

本書は、つぎのようなかたに向けて書かれています。
・脳内に文學少女を飼っている人
・これから飼おうと思っている人
・飼おうかどうしようか迷っている人
・もう飼うもんかと決意した人

うわフジモリにクリティカルヒット。というわけで表紙と前書きに釣られて読んでみました。
本作には7編のエッセイが書かれています。
小川洋子の本を少女小説の末裔として読んでみたり、古今東西の軽井沢を舞台にした小説を紹介してみたり、ロシア文学から『NHKにようこそ!』にいたるまで「ニート」を主人公にした小説を系列化してみたり、芥川賞の選評「のみ」読んで分析してみたりとジャンルや作者、時代にとらわれず様々な小説を例に挙げ語っています。
幅広い作者の読書量っぷりと、ある意味斜に構えた通常と異なる視点からの評論は、書評サイトの「中の人」にとって非常に参考になります。
特にミステリを筆頭とする「ジャンル小説読み」という読み方に一言問い掛ける『少年探偵団 is dead.赤毛のアン is dead.』は必読。これについては後日語ります。
ブログを見ると桜庭一樹とか森見登美彦についても語っているんですよね。これも読んでみたいです。
【関連】千野帽子のブログ『0007 文藝檸檬』
三軒茶屋別館 『ジャンル小説読みがよく言う「これは○○だ」「これは○○じゃない」って、結局なに?』

文學少女の友

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