別館号外さんちゃ0089号

 アホヲタ法学部生の日常さんより話題を二つ。相変わらずクオリティの高い更新です。

 まず、あゆあゆの「鯛焼問題」に関する法的考察は、ありがちな問題でも法律的に考察すると意外と論点が多くって、これを面白いと思うか面倒と思うかで、その人の法学への敷居を高く感じるか低く感じるかが決まってくると思います。
 ところで、私は恥ずかしながら『Kanon』についてまったく無知なので、小問1のあゆあゆが鯛焼きを返還しなくてよい理由が理解できません(笑)。そんな私が鯛焼きの返還不要を論証するとなれば、かじりかけの鯛焼きなんて商品として価値がないのであゆあゆは現に不当な利益を得ていないし、そうなったのも鯛焼き屋の過失によるものなので不当な結論ではない、とでもしましょうか。……イマイチしっくりきませんね。価値がない、なんて言っちゃうとあゆあゆのファンに怒られるかも知れませんし(笑)。
 あと、やっぱり『Kanon』を未見なので問題のシーンを具体的には知らないのですが、頼んでから作ってもらったのなら、注釈でも触れられているとおり、売買というよりは非典型契約である制作物供給契約で処理した方がすわりが良いように個人的には思いました。その方が、特定・非特定の論点に触れることなく”債務の本旨に従った履行がない”ということで損害賠償なり解除なりを論じることができるし、とズボラな私は思っちゃいました(笑)。

 次に、「巫女の日」商標登録問題に関する法的考察ですが、そんなことする人いるんですね(苦笑)。
 ところで、私は最近、法律や将棋の話題ばかりしてますが、一応ここはミステリを主とした書評がメインのサイトのはずです。そんなわけで、特許電子図書館で”ミステリ”の商標登録を検索してみますと、2007年3月5日時点で107件もヒットします。ま、中には家具とか寝具などといったわけの分からない指定商品・役務もあるのですが、東京創元社ミステリーズ!』や宝島社『このミステリーがすごい!』といった見覚えのあるタイトルもちゃんと商標登録されています。あんまり笑えないのが角川が登録しているミステリ\ミステリー\Mysteryです。これなんか指定商品・役務は雑誌・新聞ですし、「こんなのあり?」とは思うのですが、今のところ特に問題は起きてないみたいです。ですから『巫女の日』も多分そんなに影響はないと思うのですが……。

>フジモリです。商標登録といえば数年前の「阪神優勝」を思い出しますね。
「パテント」2004年6月号「再考 阪神優勝」(PDFです)
これは日本弁理士会が出版している雑誌なのですが、以下に興味深い記述が。

阪神優勝」といえば、阪神タイガースが優勝した事実を意味しているに過ぎず、これを優勝記念グッズに表示したとしても、自他商品を識別するために使用しているのではなく、その事実を記述的に表示しているに過ぎない、つまり商品の出所を示す表示とは認識されない、と理解できると考えられるからである。

これを応用すると、メイド喫茶の「巫女の日」というのはその事実を記述的に表示しているのに過ぎないので、問題ないように思えます。(まさにronnorさんが「問題点1:記述商標ではないか?」で指摘している通り)

あと、話は全然変わりますが、メイド喫茶で従業員が巫女のコスプレしてるのを「本物の巫女ではないじゃないか!」って詐欺罪で訴えるのはアリなのかな?とアイヨシにぶん投げてみよう(笑)。

>アイヨシです。
 本物の巫女さんに会いたかったら神社に行きましょう(笑)。
 それはともかく、詐欺罪は人を欺いて財物を交付させる罪です(刑法第264条)。で、喫茶というからにはコーヒーや紅茶、ケーキなどをちゃんと提供して、それでお金を貰えば別に詐欺罪には該当しないでしょう。飲食以外の目的があるとしたら、風営法とかが問題になっちゃいそうですし。もっとも、アイヨシはそういうお店に行ったことがないので、具体的な仕組みは知りませんけどね(笑)。
【関連】週刊三軒茶屋 第35号 著作:フジモリ コスプレ喫茶に行ってきました。



東京創元社Webミステリーズ!更新ー。
 『桜庭一樹の読書日記』はお休みです(涙)。しかし、菅浩江に倉坂鬼一郎に藤野恵美に萩原香のコメントが掲載されてますので要チェックだと思います。『ゆらぎの森のシエラ』の復刊はやっぱり嬉しいです。

CD デマ/筒井康隆+佐藤充彦
 一体これは何なのでしょうね(笑)。一応頭の中には入れておきたいと思います。