まじかる将棋入門(椎名龍一・後藤元気/イカロス出版)

萌えx将棋:まじかる将棋入門 「なんで今、将棋なんだろう」
 はい意味不明の本ですね(笑)。
 予想どおり将棋の駒が萌えキャラ化されてます。そうしたくなる気持ちは分からなくもないですが、将棋の駒って取ったり取られたりが当たり前で感情移入の対象にはなりにくいと思うのです。ですから、チェスならともかく、将棋の駒を萌えキャラ化させてしまったという構想自体がまず問題ではないかと。
 実際、ルールや手筋の説明となると萌えキャラたちの出番はほとんどなくて、主人公と猫との会話だけで話が進んでいます。これでは、バカボンのパパとニャロメとの会話で説明されるのと大差ありません。まあ、内容自体はキチンとしているので、将棋の基本書としては良いかもしれませんが、だったら普通のを買いますよね。
 驚いたのが、囲いの説明・種類の紹介がほぼゼロだったことです。斬新と言うか何と言うか……。もっとも、囲いというのは流れの中で選んでいくのが普通です。囲い名と戦法名が一緒になってるので初心者の方には分かりにくいかもしれませんが、矢倉にしようと思って必ず矢倉に出来るわけでもないですし、矢倉のはずが穴熊になってたりすることもよくあります。だから、囲いについて触れないというのは、それはそれで理にかなってるような気もしますし、最後に例示されている対局で横歩取り4五角という囲うヒマがまったくない戦法がチョイスされているのも、その意味で評価できるとは思います。
 アイヨシに最初に将棋を教えてくれた人は生粋の居飛車党だったので、アイヨシも自然と居飛車党になりましたが、最初のうちはノーガードでボコボコにされました(笑)。それはともかく、普通は振飛車四間飛車)から入ることが多いみたいですね。というのも、飛車の位置から美濃囲いまで全体的に形が決まってて、しかも組みやすいので教えやすいということがあるんだと思います。
 閑話休題ですが、囲いまでの流れを説明するのはとても難しく、結局は実際に指して覚えてもらうより他ないと思うのです。そうした場合に囲いのビジュアルだけでも知っておけば、「この展開は何となくあの囲いに組めそうだな」ということになると思うので、上手く説明はできないとしても、囲いの形・種類だけは紹介しておくべきだったと個人的には思いました。

まじかる将棋入門

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