『ハマースミスのうじ虫』(ウィリアム・モール/創元推理文庫)

 本書を読んで、そこはかとなくデスノートを思い起こしました。キャソンとペリーとの一対一の対決が月とLとのそれを彷彿とさせるものだからなのは間違いなくて、もちろん、デスノみたいに名前を書かれたら死ぬノートとか「新世界の神になる」とか、そんな壮大なストーリーではない(1955年の作品ですしね)のですが、そこが逆にうれしいです。Lはイギリス人の血が1/4(注:大場つぐみのイメージ)で5年間イギリスに住んでたと言ってますが、ひょっとしたらそれは本書の影響を受けての設定なんじゃないかと思ったり思わなかったり。根拠なしの勝手な想像ですけどね(笑)。
 ペリーの犯行の手口は鮮やかですが、それを追い詰めるキャソンのやり方もまた巧妙で、最後の最後でペリーを落とすやり方は見方によってはとても皮肉が利いてて面白いです。結末にも趣きがあって、派手さこそないですが、とても良質なサスペンスだと思います。オススメです。

ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)

ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)