『天地明察』6巻

天地明察(6) (アフタヌーンKC)

天地明察(6) (アフタヌーンKC)

改暦を進める春海を待ち受けるさらなる障害・挫折と奮起・復活を描いた巻。
改暦という行いが単なる数字の変更ではなく、一歩間違えば内戦や幕府の失墜という危険をはらんだ非常に重要な「社会的行事」であるということが彼の葛藤や苦悩とともにしっかりと描かれています。
その一方で、天球儀というひとつの「夢」を成し遂げ建部様との約束を果たした春海。
たくさんの人の夢や思いを背負って成長している春海がとてもたくましく見えます。一方で碁のライバルである道策とのやりとりにもしっかりと筆が割かれ、進む道は異なりながらも互いを尊敬しあっている様子が非常に心地よかったです。
あとがきによれば、いくつかのエピソードは原作にないとのこと。しかしながら全く違和感なく物語を楽しめていますので、作者は原作の世界を完全に自分のものにしているのだなぁと感心しました。