新久千映『ワカコ酒』ゼノンコミックス

ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)

ワカコ酒 1 (ゼノンコミックス)

村崎ワカコ26歳。
酒呑みの舌を持って生まれたがゆえに
今宵も居場所を求めてさすらう女ひとり酒。
あなたの隣にいるかもしれない、
おひとり様仕様の呑兵衛ショート♪
(裏表紙より)

 東京に引っ越して2ヶ月。ようやく都会生活には慣れましたが、一番困っているのが居酒屋。
 大阪に住んでいたときは近所に安くて美味しく雰囲気が良い(←ここ大事)行きつけの居酒屋があったのですが、引っ越し先はチェーン店しかなく苦労しています。
基本的にフジモリは足でお店を探すタイプですので今日も今日とて新規開拓を続けております。


 東京は焼きとんの店が多いなー。
 みんなと楽しく呑む酒も美味しいですが、美味しい肴をつまみにひとりでちびちびとお酒を飲む幸せというのも存在するわけで、今回読んだ『ワカコ酒』はまさに「ひとり酒愛好者」にはたまらない一冊となっています。
 登場人物は、某家電店で働くOL、村崎ワカコ26歳。
ワカコ酒』というタイトルのとおり、ワカコがひたすら居酒屋でお酒とおつまみを嗜むというシンプルなお話です。
 まあ女性が居酒屋にひとりでお酒を飲むなどという特異なシチュエーションではありますが、第1話で早々にナンパ客をシャットアウト(声をかけられた瞬間に店を出て行く)することで彼女の日常を垣間見せ、「彼女がお酒とおつまみを嗜む」というお話に読者を集中させるあたりは巧い作りだと思います。
 焼き鳥、出し巻き卵といった基本中の基本から始まり、あん肝ポン酢やかにみそといった「いかにもな」おつまみ、生春巻きや揚げ出しトマトとった変化球を交えながら、ひたすらワカコがお酒を飲み、おつまみを食べます。
 まるでOL版『孤独のグルメ』かのようですが、なにせ「お酒」と「おつまみ」。
 から揚げにはビール、あん肝ポン酢には熱燗、馬刺しと焼酎など、おつまみとそれに合うお酒をチョイスし、お酒とおつまみの両方を満喫する様は、同じく呑兵衛のフジモリにはまさに「あるある」とうなずいてしまう描写です。
 そして、ワカコがほんとうに美味しそうにお酒を飲むことよ。
(P128)
 呑兵衛はもちろん、そうでない人も思わずお酒が飲みたくなる「美味しい」一冊。オススメです。
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