私家版2012年ライトノベル ベスト10

 年始ですので書評サイトらしく一応2012年のベストライトノベルなんぞを挙げてみます。ちなみに私家版です。刊行年数などにかかわらず私が2012年に読んだ本の中から選ばせていただきましたのであしからず(順位も付けていません)。

龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈02〉

龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫)

龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫)

 3年と8ヶ月ぶりにシリーズ2作目が出たわけですが、悔しい!でも面白い……。”身の程を知る”ための戦いは成長のために不可避とはいえ、それはときにとても残酷です。
【関連】『龍盤七朝 DRAGONBUSTER〈02〉』(秋山瑞人/電撃文庫) - 三軒茶屋 別館

サクラダリセット 7

 シリーズ大団円。ポスト涼宮ハルヒにしてきちんとした完結を迎えた(そういう意味では、「抜き去った」といってもいいでしょう)ことを目出度く愛でたく思います。作者の河野裕についていえば、『ベイビー、グッドモーニング』もとても面白かったですし、これからも注目していきたいと思います。
【関連】『サクラダリセット 7』(河野裕/角川スニーカー文庫) - 三軒茶屋 別館

スカイ・ワールド

スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)

スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)

 MMORPGそっくりの世界に現代人が飛ばされて、冒険する。すでにあっちこっちで扱われている題材ですが、本作について言えば、三回連続でバッテリーがゼロにならなければ死を迎えることがない、という設定によってデスゲームになり切れておらず、しかしながら、それによってネトゲというものを描くことに成功しています。何気にオススメです。
【関連】『スカイ・ワールド』(瀬尾つかさ/富士見ファンタジア文庫) - 三軒茶屋 別館

オカルトリック

オカルトリック (このライトノベルがすごい! 文庫)

オカルトリック (このライトノベルがすごい! 文庫)

 自然現象と超自然現象との狭間を遊ぶオカルト×トリックにして鬼畜系日常ラブコメですが、何がすごいって2巻がすごいです。メンヘラばんさい。
【関連】『オカルトリック』(大間九郎/このライトノベルがすごい! 文庫) - 三軒茶屋 別館

魔法少女育成計画

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

 原則として「人助け」のためにその力を行使するのが魔法少女なわけですが、そんな魔法少女たちによる「バトルロワイヤル」が行われるのが本書です。……。”いかにしていたいけな少女達を殺すか(本書あとがきp283より)”という反社会的なコンセプトで描かれたお話ですが、それでいて社会との折り合いもそれなりについているのが面白いです。オススメです。
【関連】『魔法少女育成計画』(遠藤浅蜊/このライトノベルがすごい! 文庫) - 三軒茶屋 別館

PSYCHE

PSYCHE (星海社文庫)

PSYCHE (星海社文庫)

 サイケでもありプシュケでもあり。それでいて、蝶と魂のお話です。自覚があっても陥らざるを得ない虚へのスパイラル。本書はそんなお話です。
【関連】『PSYCHE』(唐辺葉介/星海社文庫) - 三軒茶屋 別館

下ネタという概念が存在しない退屈な世界

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

 「わいせつ」や「ヒワイ」といった概念は時代によって変化するもので、個人と社会の関係について考えるという意味で、下ネタという題材は馬鹿馬鹿しくも適切なものだといえるでしょう。2作目になっても下ネタ度は相変わらずで、単なる一発屋として終わってないのも好印象です。オススメです。
【関連】『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』(赤木大空/ガガガ文庫) - 三軒茶屋 別館

子ひつじは迷わない 贈るひつじが6ぴき

 まさかまさかの一区切り(ぐはっ)。生きる上での楽しみがひとつ減った……。いっそのこと創元推理文庫に(ry。とりあえず新シリーズを待ちたいと思います。

独創短編シリーズ 野粼まど劇場

独創短編シリーズ 野崎まど劇場 (電撃文庫)

独創短編シリーズ 野崎まど劇場 (電撃文庫)

 これは酷いwwwwww そしてずるいwwwwww でも、面白いです。いいぞーもっとやれー。

魔女狩り探偵春夏秋冬セツナ

魔女狩り探偵春夏秋冬セツナ (スーパーダッシュ文庫)

魔女狩り探偵春夏秋冬セツナ (スーパーダッシュ文庫)

 基本的にラノベミステリと思われる作品を見かけたら地雷であることを恐れずに手を出して、そのたびに後悔することになるわけですが(苦笑)、それでもときに本書のような傑作に出会うことができるので、やめるわけにはいきません。

 うん。国内/海外ミステリやSFのベストと比較して、こちらは満足度と納得度の高いものが出来上がったと自負しております。ミステリやSFはもっと読みたいと思うけど、だからといってラノベを減らすということはないようにしたいです。
【関連】私家版2011年ライトノベル ベスト10 - 三軒茶屋 別館