とよ田みのる『タケヲちゃん物怪録』小学館

ラブロマ』『FRIP FRAP』『友達100人できるかな』など、良質な「直球マンガ」を輩出する、とよ田みのるの最新作です。
 世界一不運な「タケヲちゃん」が住むことになった「百鬼荘」。そこは妖怪屋敷であり、「陰の気」を吸うことを糧としている妖怪たちが住んでいます。
 しかしながら不幸なタケヲちゃんから「陰の気」を出すのは一筋縄ではいかず、妖怪たちとタケヲちゃんとの奇妙なアパート生活が始まる・・・というお話です。
 とよ田みのるの作風は、短編集『CACTH&THROW』でも書きましたが、「他人を拒絶する」主人公(またはヒロイン)に、「コミュニケーション過多」なヒロイン(または登場人物)が暑苦しいぐらい接し、「他人を拒絶していた」主人公(またはヒロイン)が徐々に心を開いていく、というシンプルでド直球な物語を基盤としています。
 本作もまた、不幸な「タケヲちゃん」に妖怪アパートの住人がコミュニケーション過多に接していきます。
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 この暑苦しさと温度差が生み出すコミカルさが作品の良いスパイスとなっています。
 妖怪たちと不幸少女との凸凹キャッチボール。とよ田みのるの作風が好きな方には安定しておすすめできますし、「ほどよいコミカルなマンガ」をご所望の方にも思い切って薦めてみたい一冊です。
【ご参考】プチ書評 とよ田みのる『FLIP FLAP』
     プチ書評 とよ田みのる『CATCH&THROW』

*1:P136