ミリタリーと魔法と魔女とメガネっ娘少尉と。 速水螺旋人『靴ずれ戦線』

- 作者: 速水螺旋人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/12/13
- メディア: コミック
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同作者の『大砲とスタンプ』と同じカテゴリーではありますが、『大砲とスタンプ』が架空の国の架空の戦争を舞台にしたのと異なり、『靴ずれ戦線』は第二次世界大戦、ドイツとロシアの戦局を舞台としています。
ときは第二次世界大戦、ソ連とドイツの戦いのなか、ロシアの魔女ワーシェンカとお目付けナージャのコンビがあっちをうろうろ、こっちをうろうろと転戦する。お化けと戦争が交錯するローリングストーンな変てこ戦記!
(comicリュウwebより)
作風もまた軍事薀蓄たっぷりの『大砲とスタンプ』とは異なり、主人公のメガネっ娘少尉・ナージャと駆け出し魔女・ワーシェンカが、戦場を跋扈する妖精や怪物たちと戦ったり戦わなかったりしながら敵の首都ベルリン目指して旅していく、というお話です。
軍事薀蓄そのものは作中になく、代わりに同じく「月刊COMICリュウ」に掲載されていたコラムが各エピソード間に挟みこまれています。
これがまたかなりのボリュームであり、できればマンガを一通り読んでからコラムをじっくり読む、という読書スタイルをオススメしたいところです。
『靴ずれ戦線』そのものは、『大砲とスタンプ』とは異なりワーシェンカとナージャのコミカルな二人旅を楽しむお話ですし、肩肘張らず読めるところがポイントです。
作中には魔法や精霊などファンタジー要素もありますが、どちらかというと「雰囲気作り」としての部分が強いです。
とはいうものの作者の「地に足ついた」地力で、しっかりとした「世界」の上をキャラクタが動き回っている印象を受けました。
『大砲とスタンプ』と同じ「戦場もの」でありながらけっこう方向性が異なる作品であり、両者を比べて読むのもまた面白いのでは、と思わせる一冊です。
【ご参考】良質な「ミリタリー法螺マンガ」 速水螺旋人『大砲とスタンプ』 -三軒茶屋 別館
*1:現在休刊中。3月にリニューアルします。