将棋とテニスにまつわる羽生善治語録
・http://www.terrafor.net/news_ioKnzWZ6c6.html
・世界4位に完敗 錦織「四大大会ではすごい実力がないと勝てない」― スポニチ Sponichi Annex スポーツ
羽生善治の将棋とテニスにまつわる言葉を思い出せる限りでまとめてみました。
まず、上の日刊テラフォーの記事で引用されているのがこちらです。
スポーツ観戦は七割が単なる趣味で、あとの三割は将棋のためでもある。役に立つ部分が結構ある。(中略)
特に似ているのはテニスだろう。テニスはトータルなゲームなので、ポイントで勝っても試合に負けることがある。サービスゲームを交互にやったり、一人で流れを変える努力をするところは、すごく似ているし、役に立つ。それに、実力差がないときに、どうやって差をつけるかも似ている。
『決断力』(羽生善治/角川oneテーマ21)p160〜161より
他にも次のようなものがあります。
「ゴルフだとマスターズ、テニスだとウィンブルドン。伝統と格式がある特別な存在です」
asahi.com :挑戦権争うA級棋士に聞く「名人とは」 - 将棋より
羽生 将棋を指していく上で《闘争心》は必要かと疑問に感じている、と言ったんです。もちろん将棋はすごく激しいんですけど、それほど「力」と「力」がぶつかって、というものではないのではないか。なにか手を選んで指す。その手の感触、手の感覚に《闘争心》は必要ないんじゃないか、という意味です。
テニスにたとえましょう。ボールが飛んできて、それを打ち返します。でも、コートに入れないと意味がなく、なんでもかんでも力強く打てばいい、というものではありません。絶妙の加減があって打っているわけです。
それと同じです。将棋はなんでもかんでも強い手を指せばいいというものではなく、ある程度の加減が必要なんです。
「将棋世界」2006年8月号所収「羽生善治、将棋の《今》を語る」p19より
梅田 あの……よく言われている、「羽生善治は相手が悪い手を指すと嫌な顔をする」という伝説があるでしょう? あれは、実際に、そういうことがあるんですか。
羽生 あははは(笑)。いやー、たとえば、テニスのラリーがうまい調子で続いていたら、それはもうずっと続いてほしい、という思いは、ありますよねぇ?(中略)
それで相手に落胆させられるとか、何か美学のようなものがある、というのではないんですよ(笑)。ただ、ちゃんと、ピシッと、そういうコースに帰ってくる将棋がいい。相手でも自分でも、どちらかが悪い手を指すと、もっとすごいものを作り出せそうなチャンスがなくなってしまった、ということですから。
『シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代』(梅田望夫/中央公論新社)p262〜263より
日刊テラフォーの記事内で羽生善治二冠の言葉とされている「2手先を読む」という表現については私には見つけることができませんでした。心当たりのある方がおられましたらご教示いただければ幸いです(ペコリ)。
それはともかく、私は将棋についてはそれなりに知っていますがテニスについては本当にど素人なので、テニスファンから見てこうした表現がどれほど妥当なものかは分かりませんが、将棋の説明としては本当に上手だなぁと思います。将棋の指し手だけでなく言葉使いも変幻自在ですね。

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