2011年の将棋とかの漫画や小説についてなど。
当ブログは多趣味を標榜しつつも基本的にはミステリ書評ブログのはず……なのですが、昨年は毎月のように刊行され続ける将棋漫画の解説記事を書くのに追われた一年でもありました。ブログ解説当初は将棋漫画といってもハチワンしかなかったので気楽なものだったのですが*1、まさかこんなことになろうとは……。というわけで、昨年の将棋漫画と小説と、それから近接ジャンルであるチェスと囲碁を題材にした作品について簡単に振り返ってみたいと思います。
チェス

- 作者: ベルティーナ・ヘンリヒス,中井珠子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/26
- メディア: 単行本
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- 作者: トム・スタンデージ,服部桂
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2011/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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また、年末には『謎のチェス指し人形「ターク」』(トム・スタンデージ/NTT出版)という本が刊行されています。私はまだ未読なのですが、非常に気になります。できるだけ早く入手して読んでみたいです。
【参考】『チェスをする女』(ベルティーナ・ヘンリヒス/筑摩書房) - 三軒茶屋 別館
囲碁

原色の想像力 (創元SF短編賞アンソロジー) (創元SF文庫)
- 作者: 大森望,日下三蔵,山田正紀
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/12/18
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- 作者: 犬飼六岐
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/28
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- 作者: 槇えびし,冲方丁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/23
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【参考】『囲碁小町 嫁入り七番勝負』(犬飼六岐/講談社) - 三軒茶屋 別館
ちなみに、こんなニュースもあったり。
・asahi.com(朝日新聞社):高1、1位で囲碁棋士合格 船橋の大西さん、「ヒカルの碁」きっかけ - 小中高ニュース - 教育
将棋小説

- 作者: 塩田武士
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/06
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- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/02/11
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- 作者: 橋本長道
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/02/03
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また、今年の2月には元奨励会1級の著者が書いた『サラの柔らかな香車』(橋本長道/集英社)が第24回小説すばる新人賞受賞として刊行されます。読書好きの将棋ファンにとっては今後も楽しみが尽きません。
【参考】
・『盤上のアルファ』(塩田武士/講談社) - 三軒茶屋 別館
・『ダークゾーン』(貴志祐介/祥伝社) - 三軒茶屋 別館
将棋漫画

- 作者: 南 Q太
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/23
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- 作者: 上杉可南子
- 出版社/メーカー: 双葉社
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- 作者: 落合裕介
- 出版社/メーカー: 少年画報社
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- 作者: 田中相
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- 作者: 岩明均
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- 作者: 青木幸子
- 出版社/メーカー: 講談社
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『ひらけ駒!』(南Q太/モーニングKC)は将棋に打ち込む小学四年生の宝と、それを見つめる母親という母子の姿を描いた将棋漫画。将棋漫画版『よつばと!』ともいえます。『JOKER』(上杉可南子/ジュールコミックス)は元天才女流棋士(今は20歳過ぎてただの女流棋士)と小学生との同棲生活(?)という奇妙な恋愛漫画。『BLOOD〜真剣師将人〜』(落合祐介/ヤングキングコミックス)はやさぐれた生活を送っていた将人の元に突然やくざがやってきて、父親が残した10億の借金を「真剣」で返すことになるお話。3作とも見事な住み分けです。『ハチワンダイバー』や『3月のライオン』などと合わせて、漫画好きの将棋ファンにとっては今後も楽しみが尽きません。
また、短編集『地上はポケットの中の庭』(田中相/KCx ITAN)には「まばたきはそれから」とオマケ漫画「城間クンのドキドキ対局日誌」が収録されていますが、どちらも若手プロ棋士が対局に臨む姿を描いた作品です。青春してます。ちょっと変わったところでは、『ヒストリエ』(岩明均/アフタヌーンKC)7巻限定版には作中に登場する作者オリジナルの将棋「マケドニア将棋」が付録として付いています。限定版なので最早入手困難かもしれませんが、指してみるとなかなか面白いです。
一方で、『王狩』(青木幸子/イブニングKC)が3巻で第一部完という残念なニュースも。まだまだこれからだったのに……。思うに、『ダークゾーン』にて「症例会」とも揶揄されている奨励会の”毒”は、才能ある少年少女たちを主役とする華やかなストーリーをもってしても薄め切れなかったというところでしょうか。あと、将棋のゲームにおける記憶以外の重要な要素や棋士のアスリート性といったものをもう少し分かりやすく表現できてたらよかったのかも、と思わなくもないです。難しいものですね……。
ちなみに、『3月のライオン』は第35回講談社漫画賞一般部門受賞。『ハチワンダイバー』は23巻という長期連載となり物語は収束に向かっています(とはいえ、先はまだまだ長そうですが)。将棋漫画フリークとしては嬉しい悲鳴です。今年も頑張ります。
【参考】
・『ひらけ駒! 1巻』将棋ヲタ的雑感 - 三軒茶屋 別館
・『JOKER(1)』(上杉可南子/ジュールコミックス) - 三軒茶屋 別館
・『BLOOD〜真剣師将人〜 1巻』(落合祐介/ヤングキングコミックス) - 三軒茶屋 別館
・『地上はポケットの中の庭』(田中相/KCx ITAN) - 三軒茶屋 別館
・漫画雑誌で現在連載中の将棋漫画をマトリクスで紹介してみる。 - 三軒茶屋 別館
・マケドニア将棋を指してみました。 - 三軒茶屋 別館