将棋と勉強とシュークリーム分

ハチワンダイバー 21 (ヤングジャンプコミックス)

ハチワンダイバー 21 (ヤングジャンプコミックス)

 『ハチワンダイバー』21巻から始まる的当瞬将聖対鈴木大介八段戦。それはシュークリームを巡る因縁の対決です。
*1
 将棋の対局は脳を限界まで酷使します。そんな脳のエネルギーとなる糖を補給するため、特にタイトル戦などの持ち時間の長い将棋ではおやつなどの甘いものを食べることが欠かせません。たかがおやつ、されどおやつです。
 ちなみに、栄養補給とシュークリームといえば、もうひとつ忘れてはならない漫画があります。それが『あずまんが大王』です。
あずまんが大王 3年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

あずまんが大王 3年生 (少年サンデーコミックススペシャル)

*2
 ”シュークリーム分”という画期的な概念が生まれた瞬間です。将棋や勉強といった頭脳労働に欠かせないもの。それがシュークリーム分なのです。
 ちなみに、何ゆえ甘いものの代表として両漫画でシュークリームが選ばれているのかについてですが、おそらくシュークリームのかたちが何となく脳のかたちを連想させるからではないかと思うのですがいかがでしょう?
 なお、実際の将棋のタイトル戦でも、対戦相手に自分のおやつを食べられちゃったという渡辺明竜王エピソードがあります。

いつものようにメニューの中から好きなおやつを注文し、わくわくしながら到着を待っていた。
すると、運ばれてきたおやつが自分のと佐藤さんのと逆に置かれた。
「いやっ、僕モンブラ…」
指摘する暇もなく、仲居さんは対局者に気を利かせ、足早に静かに部屋を去った。
対局室には自分と佐藤さんの二人だけ。
「…あの、そのモンブラン、僕のですよね?」と佐藤さんに言おうか。
それとも気づかないふりしてフルーツルージュを食べるか。
しかし盤上を読みふけっている佐藤さんが突然顔を上げ、「あ、僕のフルーツルージュ」と言ったら大変だ。
相手の動向をじっとうかがう。
佐藤さんは一心不乱に盤上を見つめている。
僕はモンブランを見つめている。
佐藤さんの手が伸びる。
「あっ…」
モンブランが口の中に運ばれるのを見届けてから、泣く泣く諦めてフルーツルージュに手を出した。

おやつ : 妻の小言。より

 まあ、こっちの場合はおやつが交換になっただけですが、おやつというのは棋士によっては将棋の対局において栄養面だけでなく気分転換のためにも重要なものだということですね。
【関連】棋士とおやつ - 三軒茶屋 別館