新城カズマ『15x24』ネットでのプロモーションまとめ

15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-1)15×24 link two 大人はわかっちゃくれない (15×24 シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫)15×24 link four Riders of the Mark City (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-4)
自分メモがてら、新城カズマ15x24』に関するプロモーションについてまとめてみました。
新城カズマ15x24』は、著者自ら「構想2年、執筆2年、原稿用紙3000枚の大作」と言っており、4ヶ月連続刊行、全6巻という、いわゆる通常のライトノベルレーベルの刊行方法とは異質な作品ですが、そのプロモーションもまた通常とはやや異なっていました。
著者自らtwitterを使い実験的な試みをしており、非常に興味深かったのですが、いかんせん発売前に注目する方々というのは「根っからの新城カズマファン」が多かろうと思いますし、著者が『15x24』を届けたい読者、あるいは口コミ評判を聞いて興味をもっている読者は、当時のプロモーションを知らないのでは?と思いますので、時系列にまとめてみました。
新城カズマblog「散歩男爵」
新城カズマtwitter

twitter上で事前公開

まずはtwitterおよび著者blog上で軽くジャブを。
【急募】新城カズマの例の3000枚大長編(たぶんライトノベル)の『15×24』を広く世間に知らしめる方法【サイン本進呈しますんで】 - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
そして、『15x24』発売前に著者自らtwitter上で事前公開を行いました。
『15×24』先行無料ロードショウ/演奏、の楽しみかた - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
『15×24』無料先行ロードショウ/演奏(の第1週)を見逃した方に - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
『15×24』無料先行ロードショウ/演奏(の第2週以降)を見逃した方に - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
2009-09-01
事前公開に際して著者・新城カズマ氏は「演奏」と言っていましたが、オーディオコメンテータリーがごとく、オススメBGMを併せて紹介したり、登場人物や場面の裏話、あるいは質問に対し回答するなど、さながら「読書会」のようでした。
twitter上で「事前公開用(#15x24)」「雑談用(#15c24)」「カップリング用(#15f24)」「ネタバレ考察用(#15q24)」などさまざまなタグをつけ読者のコミュニケーションの場を設定し、それはまた本編発売後もゆるやかなコミュニケーションの場として機能しています。
『15×24』関連のタグについてver2 - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)

サイン本/POP作成

1、2巻販売にあたりけっこうたくさんのサイン本を書店向けに作成されたようで、フジモリも梅田のジュンク堂で運良くゲットしました。(ちなみに3巻発売時もまだ1冊ずつ残っていました)
同時にPOPも作成されたようですが、これが各書店ごとに固有の「暗号」を入れているみたいで、現在書店で見かけた方々による解読活動が進められています。
トップページ - 15x24 @ ウィキ - アットウィキ
もしお近くで見かけられた方々いらっしゃいましたら捜査ご協力よろしくお願いします。

twitter公開対談

15x24』発売後に、twitter上で新城カズマ氏と作家・堺三保氏による公開対談が行われました。
世界初(たぶん)のツイッターで『15×24』公開対談/座談会、10月2&3日にやります - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
『15×24』連続刊行開始記念、世界初(たぶん)のツイッター対談というか座談会(第1夜)をまとめてみた! - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
でもって『15×24』連続刊行開始記念、世界初(たぶん)のツイッター対談というか座談会(第2夜)も、まとめた! - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
チャットと同じく、twitterの「時差」により議題が並行したこともありましたが、googleに代表される「著作権の未来」の話など、けっこう深い話題にもつっこみ、なかなかおもしろかったです。
twitterを使われている作者の方も多いですし、こういった公開対談が今後増えればいいなぁ、と思ったりしました。

新城カズマを探せ!「25x23」「26x23」「27x23」東京鬼ごっこ&かくれんぼ

1、2巻発売日である9月25日および翌日の26日、翌々日の27日、また3巻発売日の10月23日には、著者自ら各書店をまわりながら、その書店巡りを「twitter上で実況中継」し、著者新城カズマを捕捉するという「鬼ごっこ」が行われました。
15x24』は「自殺志望の高校生を探し出して止める」ことが物語の導入となっており、23区を舞台にした鬼ごっこ(あるいはかくれんぼ)はさながら物語をトレース(あるいは疑似体験)するかのようなイベントでした。
『15×24』発売開始記念、都内書店を自転車で巡る〈25×23〉大作戦を敢行中! - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
『15×24』連続発売記念で都内を駆け巡るパート2〈26x23〉!の詳細を……(追記あり) - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
『15×24』連続刊行記念ゲーム三部作の掉尾を飾る〈27x23〉大作戦! - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
このイベントとシンクロしているわけではないですが、iphoneアプリ「鬼ごっこレーダー」を活用した鬼ごっこイベントなども開催されており、いろいろと興味深いです。
AKIBA PC Hotline! Junk Blog.: 「鬼ごっこレーダー」使った秋葉原リアル鬼ごっこ開催さる
10/10の京都SFコンベンションで新城カズマ氏が「書き始めたのが2005年なので舞台を2005年にしているが、4年経っただけでニコ動、youtubetwitterセカイカメラなど周囲を取り巻く環境ががらっと変わっている。2009年版『15x24』がどのように物語が進むのか思考実験するのも楽しい」と言っていましたが、このプロモーション活動もまた「現時点でのツールを最大限活用した」ものであり、それをまた著者自らおこなっているところが非常に興味深いと思います。

犯人当てクイズ

そして今月発売される4巻のあとがきが先行公開されました。
15x24の4巻こっそり特別先行公開……(コメント欄でQ&Aなど追加あり) - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
真犯人の正体を当てた人には、「最終巻クライマックスに登場/参加する権利をプレゼント」するという「読者への挑戦状」。

1. 「完璧な場所」はここだ!部門
* 推理の過程や理由などもお書きください
* あなたとその「場所」との因縁や、実際に二〇〇五年大晦日〜〇六年元旦にその「場所」にいた!等の逸話があると、審査の際に有利になります
2. 『15×24』のクライマックス〜エンディングはこうだ/こうあるべきだ!部門
* 「あのキャラとこのキャラを、ぜひカップルに!」「最終巻には、こういうイラストつけて!」「こういう番外編を書いてネットで無料公開しろ!」等のリクエストをどうぞ
* イラストや小説や楽曲など、いわゆる二次創作があると有利になります
3. 真犯人の正体およびその動機は?部門
* この物語の真犯人およびその動機を解き明かしてください
* 〈17〉が何故、自殺/心中時刻を延期したのか、その理由も推理して的中させた場合は有利になります

締め切りは12月5日と短いですが、12月末に発売される最終巻への登場というなんともリアルタイムな読者企画。*1
それこそ、PBMのノリだなぁ、と懐かしくもテンションが上がる(フジモリ的に)企画だなと思います。
倍率も低いと思いますし(笑)、今から読み返して復習しようかと思っています。
(註:締め切りは12/5まで、しかし締め切りの関係で12/1or2までに送った方が当選確率は高まるそうです



著者自ら言っていますが、「ラノベレーベルで最初から「全6巻」の本を出すのは珍しく、売り上げによっては途中で「打ち切り」の可能性もある」と読者の危機感を煽りつつ(笑)、『15x24』連続刊行を一つのイベントとしてさまざまな実験的なプロモーション活動を行っています。
今のところ活動対象は都内だったりtwitter上だったりと非常に限定的であり、「本来売りたい相手(=『15x24』を知らない人々)」に対して効果をあげているかどうかについては疑問符がつきますが、新城カズマファンのフジモリは非常に楽しんでいますし、twitter上でも楽しんでいる方々がちらほら見受けられます。
発売後の『15x24』をとりまく話題についてはいろいろなところで語られているので別途記事にまとめたりはしませんが*2、そういった話題も含めて楽しめればな、と思っていますし、フジモリの記事を読んで一人でも『15x24』に興味を持っていただければ嬉しいな、と思います。
新城カズマ『15x24』感想リンク集 - 三軒茶屋 別館

*1:ちなみに、読者に「推理」させるという意味からも『15x24』の内容はトンデモ路線に大きくぶれないのかな、と安心したり。

*2:個人的には「売れてないことが売り」というキャラ付けが巧くできたなぁ、と思ったりしています(笑)。